佐賀之書店で店長を務めております、本間はるかと申します。

 私は一年に一度、その年に読んだ本の中で一番面白かった本に進呈する【ほんま大賞】という個人賞を運営(一人)しています。一年目に選んだ本がその年の本屋大賞を、二年目に選んだ本が直木賞を受賞したことから、すっかり「目利き」だなんて言われていい気になった私は、この取り組みを続けて七年が経ちました。その間、私は二度転職し、今の佐賀之書店を含め三つの書店で働いてきましたが、どのお店でも【ほんま大賞】を続けてきました。『継続は力なり』とはよく言ったもので、昨年の受賞作『照子と瑠衣』は、お店自体が新規店という強力な追い風もあり、一年間で一番売れた本になりました。

 ベストセラーは、仕入れるのではなく、自らの手で作り出すもの! ……だなんていうとめちゃくちゃカッコいいですが、意外と“そうなっていく”もので。店で一番デカいPOPを付けて、一年間ずーっと一等地で多面展開をしているのですから、そりゃ売れます。『卵が先か鶏が先か』じゃありませんが、大きく展開しているから売れるのか、売れるから大きく展開しているのか……そんなことはお客様にはわからないのですから、なんか売れてそう・面白そう・これを買えば間違いなさそうという雰囲気を出すことが肝要です。

 どんな本でもそうですが、書店員は、本が売れると嬉しいもの。個人賞は格別です。思い入れのある本を、思い入れがあります! と全力でアピールして売る。その売上は、直接言葉を交わさずとも伝わる、お客様からのエールなのです。

 

私の推し本

『月花美人』滝沢志郎
KADOKAWA


誇り高き剣鬼、生理用品を作る! 義娘の初潮を契機に己の無知を省み、安全・快適な生理用品の開発に挑む望月鞘音の生き様に震えます! 第七回ほんま大賞受賞作。