ネットや電子書籍で本を買うことが当たり前になったからこそ、「本屋ってたのしい!」という体験をしてもらいたい、それがわたしのこだわりです。
本は定価が決まっているからどこで買ってもお客さまにとってはおなじ、ですよね。
そのなかでどう他の書店とともに生き残っていくか。結局たどりつくのは、本屋さんがそれぞれに特化した強みを持てばいいのでは、ということです。
たとえばここ高知では、硬派な品揃えで読書通の方に信頼される老舗の書店があるし、大型ショッピングモールの書店には集客力や利便性で敵いません。
じゃあ、どうやってうちのお店を選んでもらおう?
そこで「他の本屋では味わえないくらいの圧でたのしませてくる売場」にしようと思い、POPや、やりすぎなディスプレイや、手描きフリーペーパーをどんどん増殖しています。
熱いPOPをつくったり、本に出てくる建物をミニチュアのジオラマとして再現したり、お客さま参加型のコーナーをやってみたり。
いやむしろ逆で、私がPOPや工作で本への興奮をアウトプットしたい人間だったからこそ、売場の圧がすごいことになり、その言い訳としてこんなことを書いているのですが……。
でもいいんです。
この本を届けたい、届けることがたのしい! という気持ちをちゃんと表現できれば、そこで立ち止まってくれるお客さまはいる。その積み重ねでお客さまも「本屋ってたのしい!」と思ってくれるのだから。
私の推し本
『なんで死体がスタジオに!?』森バジル
文藝春秋
生放送に出演するタレントの死体が本番直前発見された! それを隠して番組は強行、人狼ゲームで嘘を暴き、犯人を推理せよ──! テレビ愛と仕掛けに満ちた最高のミステリ!