おせっかいな接客
成田本店 みなと高台店(青森県八戸市) 櫻井美怜さん

 

 荷物のない日曜の朝。開店前に入口の掃除をしていると「お客様の声」の投書箱から白い紙がのぞいているのが見えた。傘立てにくしゃくしゃに丸められたレシートが捨てられていることも多く「ごみ箱代わりに、また紙ゴミでも捨てられているのか」と、ため息交じりに飛びだしている紙の端をつまんでみると、レシートのペラペラの感熱紙の手触りではない。そっと引き上げてみると、それはきちんとのり付けで封をされた白い封筒だった。

 それを見た瞬間、心臓が縮んだ。

「お客様の声」に「白い封筒」。嫌な予感しかしない。

 見なかったことにしたいところだが、その場で封を切る。

 おそるおそる開いた便せんには「新聞で紹介されていた本を探しに来たが、あいにくお店には在庫がなく取り寄せになった。他業種のお店で、商品の場所を尋ねたところ、無言で案内され非常に驚いたが、こちらでは、いつも親切に対応していただき、買い物をするたびに温かい気持ちになる」という、ありがたい感謝の言葉が綴られていた。店長就任早々にクレームではなくて良かったと胸をなでおろす。

 たとえば問題集の注文なら、試験の日付を確認して、一日でも早く入手する方法で案内をしたり、ひとつ前の巻のコミックを買われるお客様には新刊が出ていることをお伝えする。

 おせっかいかもしれないが、そのひと言が次の一冊のお買い上げに繫がることがある。これ

は、AIにはできない仕事だと思っている。どこも人手不足で丁寧な接客が難しくなっている。だからこそ、レジで会話ができる書店員であり続けたい。

 

今度は小銭が入っていたので募金します……

私の推し本

『皇后の碧』
阿部智里・著
新潮社

 

色鮮やかな衣装にきらびやかな装飾品。美女とイケメン祭りに加えて謎解きまで、ファンタジー好きの女子の脳内を一瞬で幸せにしてくれる阿部智里の世界観を存分に楽しめる。