自宅の最寄り駅にある自店舗を、働くまで利用してなかった。
なぜなら規模が小さいこともあり、『あ、ここには(自分の欲しい本が)ないだろうな』と思い、駅前なのにスルーし、乗換駅の文芸書が豊富な店を使っていた。
働き始めて、やはり、あれもない! これもない! と悶々とした日々が続いた。文芸書を担当することになり、あれやこれやと発注をかけ、棚の改造を進めた。
そんな折、某イベントで他書店の先輩と話す機会があり『売れる本、売らなければならない本、売りたい本のバランスが大事』と伺い、深く心に残った。
当店のような小さな書店だと、売れる本は待ってても入荷がないので自ら情報を探り手配、売らなければならない本は頭を抱えながら置き場を駆使、そうやって文芸書の売り上げ実績を出し、自分が売りたい本のスペースを大々的に取る! という流れが私のこだわりとなった。
サイン本も『きっとこの近隣でも欲しい方いるよね。だって私が欲しくて他店で買ってるんだし』と考え、売れなければ私が買う! と思った作品を少しずつ入荷してみると、やはり売れる。
サイン本を手にしたお客様の笑顔を見るたびに一緒に語りたい衝動に駆られるが、抑えながらレジ作業を行い、心の中でガッツポーズをする喜び(たまに語れそうな方にはお声がけしてしまう)。
話題の作品の近くに推し作品を置いて目につくようにしたり、話しかけてくださるお客様には推し作品、推し作家様をお伝えしたり、日々推し事に勤しんでいる。
私の推し本
『骨と肉』櫛木理宇
双葉社
櫛木ワールドの最新刊。猟奇的な殺人事件の捜査を行う刑事・武瑠は捜査が進展するとともになぜか既視感を覚える。読了後、タイトルに深さを覚える作品。