本との出会い方が多種多様化している時代。私のこだわりは、ディスプレイです。
毎日入荷してくる本の中で、生まれたてほやほやの一冊にスポットライトを当てています。
目を引く装飾をし、お目当ての本を買いに来たお客様に足を止めてもらい、出会うはずのなかった本に会える場所を作る。
ディスプレイは、私にとってお客様と本をつなぐ、最高の手段です。
「なんか面白そう?」「この本、何だろう?」とお客様がわくわくする遊園地のような売り場を思い描いて展開しています。
自分が作っていて感じる楽しさは、きっと誰かに伝わるはずだと思っています。
『葬送のフリーレン』の宝箱、『宇宙兄弟』のロケット、『よつばと!』の人気キャラ・ダンボーなど、いろんなものを作ってきました。
時折、小さなお子様が「ロケットだ! ミミックだ!」と目を輝かせてくれる姿を目にします。
本屋って楽しいなと感じてもらえたら嬉しいです。
ただ同時に、基本的な作業を疎かにせず、気持ちばかりが先走った売り場にならないようにも気を付けています。
先日、作業していたところ、男の子とお母さんがいらっしゃいました。男の子が「なんで本屋さんに来たの?」と尋ねると、お母さんが「すてきなものを見つけに来たの」と答えていて、ほっこりしました。そのやり取りを見て、とてもうれしくなりました。
本屋さん、まだまだがんばれるぞ。「すてきなもの」を届けられるように、今日も明日も楽しく本を並べていきます。いらっしゃいませ。
私の推し本
『本なら売るほど』児島青
KADOKAWA
ひとつひとつが宝石のような短編が詰め込まれたコミック。本への愛情が静かに伝わってきます。本なら売るほどある本屋さんでぜひ探してみてください。