元来の頑固さゆえ、私にはこだわりがたくさんあります。平積みは左を低くする、売場をきれいに整えすぎない、他にも細かすぎて、それはもうここでは書ききれないくらいに。

 そんな中で今、一番大切にしているマイルールは、できるだけ店頭にいることです。データを眺めることが好きなので、意識しないと倉庫にいる時間が長くなりがちです。でも店頭に立っていると気づくことも多く、それが売場作りのヒントになることもあります。

 今日よくお問い合わせのある本は何か。お問い合わせが重なれば、すぐに目立つ場所に並べることができます。一冊の本のご注文を受けるときに、実は作者が地元の人だという情報をいただくこともあります。店頭に立ち、できるだけ目で、耳で、生の情報に触れることで、お客様が下さる売場づくりのヒントを見つけたいと思っています。

 店頭にいることで、おすすめの本を質問していただきたいという思いもあります。お客様と直接会話をして本をご紹介したいのですが、実際には限られた数のお客様にしかできません。代わりにPOPでお客様に語っています。このPOPが私のもう一つのこだわりです。熱を込めて、お客様に語りかけるつもりで書くので、かなりの長文になります。自分でも少しうるさいPOPだと思いますが、おすすめの本の証だと思っていただけるとうれしいです。

 忙しい毎日で、意識しないといろんなことが疎かになってしまいますが、一冊でも多くの本をお客様に届けるため、私はこれからもこだわりを持つことにこだわり続けるつもりです。

 

私の推し本

『一八〇秒の熱量』
山本草介 双葉文庫


崖っぷちボクサー米澤の試合は、かなり地味。でも、心の底から熱がわきあがる。ラスト十秒の戦い方は必見。「本当の意味での強さとは何か」の答えがここにあります。