私は商品をよく知らずに並べるのが苦手なので、売り場に並べる本はできる限り読むようにしています。
 話題になっている本には目を通すようにし、出版社さんから発売前にゲラやプルーフなどをいただいた時もなるべく全て読むようにしています。
 ゲラより文芸誌で連載を追いかけた方が早いと気付いてからは文芸誌を読むようにもなりました。
 自分が面白いと思った本を詰め込んだ結果、盛り盛りの売り場が出来上がりました。
「個人の本棚みたい」と言われたこともあるのですが、人の本棚を見るとワクワクしてしまう私にとっては最高の褒め言葉です。
 ただ、好きな本ばかり置くと偏ってしまうので、話題になっていたり、人気タイトル等もしっかり並べるようにしています。
 この加減が難しく、売れている本ばかり置いていると面白味のない売り場になってしまいますし、かといって好きに偏り過ぎてしまうと癖が強過ぎてしまう。
 そのバランスを考えながら、一冊の本を手に取った方が「これも面白そう」「これも気になる」と次々手に取りたくなるような売り場になるよう、心がけています。ひっそり忍ばせた尖った本が売れた時は思わずガッツポーズをしてしまうほど嬉しいです。
 そもそも私は児童書担当なのですが、本を読むことが好きだから、という理由で自由にやらせてくれるお店やスタッフには感謝しかありません。
 これからも、ネットにはない、書店だからできる本との出会いをお客様に届けていけたらと思います。

 

私の推し本

『吾輩は猫ではない、宇宙人である』安濃豊
展転社


三毛猫の体を乗っ取って地球を観察する宇宙人の物語。ぶっ飛んだ本が読みたい! という方にオススメ。夏目漱石と関係あるのかなと思ったら、作者の方が漱石の直系五代目の弟子だそうで驚きました。