私のこだわりは「お客様を好きになること、尊敬すること」です。現在、丸善丸の内本店で女性向けのエッセイの棚を担当しています。夕方になるとお仕事の帰りなのでしょうか、熱心に棚を見て下さっているお客様がたくさんいらっしゃいます。売れる本の傾向から、真面目で向上心があって、好奇心旺盛な方が多いと日々感じています。

 素敵だなあ。かっこいいなあ。そんなふうに思っていると、こんなフェアをしたら喜んでいただけるんじゃないか、このテーマは絶対にささるはずなど、発想もいろいろ浮かんできます。接客する時にはもちろんですが、直接お話できない方とも棚を通じて会話をすることを大切にしたいと日々思っています。

 もう一つ意識しているのは「平台は左端が一番良い場所」ということです。もちろん右端もいい場所ですが、いちばん重要なのは左端。これは、書店員になりたての時に、かっこいい棚を作る先輩が教えてくれました。なんで左なんですかと聞いたら「心臓に近いからじゃないかなあ」と言われました。なんで心臓? と思ったけれど、いきなりしつこく聞きまくるのもなあ、とためらっているうちに、先輩は退職してしまいました。それから長い年月本屋で働いていますが、実感として左端は重要です。理由は……やっぱりよくわかりません。あの時、聞けばよかった!

「疑問に思ったことはすぐに、遠慮なく聞いてください」新しく入ったスタッフにはそう言うようにしています。

 

私の推し本

「じい散歩 妻の反乱」
藤野 千夜 
双葉社


主人公はひとり散歩とエロ本収集が趣味の92歳。妻は要介護で、困った息子が3人。家族の日常にヒヤヒヤしたり、笑いが止まらなくなったり……。大好きな小説です。