私は過去に文芸書を担当していました。その際は作家さんにお会いすることが何度かありましたが、お客様にも同じような機会を提供したいと思い、出版社企画の店頭陳列コンクールに積極的に参加してきました(店頭陳列コンクールでは入賞店への賞典として、たとえ地方の書店でも作家さんが訪れ、イベントを開催するというものもあります)。
その際にPOPや売り場作りはかかせません。POPづくりや普段おススメする本に関して、マイルールがあります。
(1) 出版社から提供された既成の拡材も使用するが、まずは作品に合うものを頭の中でイメージして、一から作り上げる。
(2) 手書きPOPは、必ず自分の言葉で。カッコいい言葉よりも伝わりやすい言葉を選ぶ。
(3) 巻数の多い作品は、時系列が一目でわかるようにする。続編が出版されて初めて知るお客様も多いので、フェアとして展開する。
(4) SNSを利用する際は正しい漢字表記、メディア化作品であれば正確な情報を載せる。至極当たり前のことですが、入念に確認します。
ここまでするのは、やはり作品や作家さんへの敬意と、沢山の方に読んでいただきたいとの想いからです。メディア化作品であれば、広く知られることもありますが、それ以外の作品はやはり発信してこそだと思います。
本だけで勝負するのは難しい時代かもしれませんが、本なくしての書店は考えられません。
書店はいつもワクワクする場所であってほしい。本を愛する気持ちや、本の魅力を伝えていくことは、書店員になってから、ずっと変わらない私のこだわりです。
私の推し本
『俺ではない炎上』浅倉秋成
双葉文庫
まさに現代のSNSの闇に迫る逃亡ミステリ。いつか自分も!?
と思わずにいられないほどリアルで、行きつ戻りつハラハラしました。