宗教は関係なく神社やお寺が好きな人はいても嫌いな人はあんまりいないんじゃないかな、と思っています。昔、その土地に生きた人たちはエンタメなんてものは多くなく、何かあっちゃ神社やお寺に集まって話し合い、豊作を願うお祭りを催したり、裏には集落のお墓を作って祖先を敬ったりしていました。そしてその土地に生きる指針というか文化というか祖先の息吹を感じ、それを伝えながら皆で生きるためにただ集まるのが楽しい場所でもあったのだ。

 私の本屋のこだわりは現代の本屋をその土地の神社やお寺のような場所にするということです。その土地に生きた先人の知恵、歴史や、最近起こった事件、物語を皆に楽しく広める場所。この土地の出版社、作家と協力してこの地に住む人にこの地のことを多く知ってもらう場所。

 何か面白いものを感じるために人が集まってくる場所にしたい、と思っています。

 大阪の他の書店や、各取次と協力し大阪ほんま本大賞を作って11年。物語、小説を楽しみながら土地の文化や歴史を伝え、その利益の一部で現在まで約800万円分の本を子供たちに贈ることができました。子供たちが本に触れあう機会をたくさん作って大人になった時にまたもう一度この場所に戻ってきて欲しい、と願いながら大阪の本を集めています。

 本を売った後に何を残すのか、をいつも意識して今日も人がここに楽しく集まってくれるよう祈ります。

 

私の推し本

「エヴァーグリーン・ゲーム」
石井仁蔵 ポプラ社

本文とは全く関係ないが強烈に面白いエンタメ小説。登場人物たちそれぞれの章が短編小説になっており、お互いの人生が少しずつ絡みあい、最終章で一気に爆発。感動必至のチェス小説。