私のこだわりは3つあります。  
 1つ目は、平台での特別な展開です。力を入れたい作品を、お客様の流れに合った場所での、立体的な多面展開。積み方について「置き方を工夫しましょう」という先輩の言葉が、ずっと胸に残っており、日々、試行錯誤を繰り返しています。また、一瞬でも目に留めていただけるような、大きめのパネルの掲示。そして、お手にとっていただけるポップの言葉選びを、重要視しています。1人でも多くのお客様に作品が届いてほしいと、いつも発信する言葉を探しています。

 2つ目は、自分が推したい作品と、ベストセラー作品のバランスです。お恥ずかしながら、以前、推したい本の展開に力を入れすぎたため、偏った棚になってしまいました。上司から「バランスが大切だよね」とご指導いただきました。この言葉に、はっと目が覚め、「何て、独りよがりな展開をしていたのだろう」と深く反省しました。私にとって忘れられないエピソードです。

 3つ目は「こだわりすぎない」という事です。担当が長くなると、どうしても固定観念が強くなってしまいます。「今の状態で良いのかな」「もっとベストな展開はないのかな」と、自問自答の日々です。先輩方から教えていただいた事を忘れず、お客様と時代のニーズに合わせて、考え方や方法を、更新していく事を、一番大切にしています。

 棚作りは、すればするほど、謎が深まる問いのようです。ですが、答えがないからこそ面白く、無限の可能性を秘めていると感じます。お客様に、何度もお越しいただける、素敵な棚を作れるよう、楽しく本の畑を耕していきたいです!

 

私の推し本

「半暮刻」
月村了衛 双葉社


ある事件が、青年2人の運命を変えてしまう。本当の悪とは何か。罪を償うとはどういう事か。社会の闇に深く切り込んだ衝撃の社会派小説。ノンストップの一気読みでした!