時々「タイトル、著者がわからなくて、うろ覚えでこういう本なんだけど」とお問い合わせを受けることがあります。さあきたぞ、見つけてやろうじゃないかクイズ到来です。その本がテレビで紹介されていたという情報を話の中で得た時には、売れるチャンスが巡ってきます。
これは一例として、お客様との会話には本の注文、棚づくりのヒントが隠されています。お客様に教えてもらうことは多いです。
何とかお探しの本を見つけて、喜んで購入していただいた時は幸せ満点です。お客様との対話をもっともっと大事にしたいと思っています。
そして、棚について意識していることがあります。
売れる本、置いておかなければならない本は揃えて、この本屋にきたら欲しい本があると言ってもらえるようにするとともに、自分が読んで、素晴らしいのにあまり知られていない本、独自のキラッと光る魅力のある本を展開するよう努めています。
努めるというか、させてもらっていると言った方がいいかもしれません。
この本が知られていないのが、おかしい、悲しいと思った本を青いと言われても、べたな感情丸出しと言われても正直な想いをぶつけたPOPを作って、お客様の心に響いてほしいと願いをこめながら、展開しています。
ある作家の本を読み、その本に感動し、大展開していて、その作家の新刊が出てすぐに何冊か売れていた時は喜びもひとしおでした。
この本屋が好きといわれるよう、店に多くのファンをつくる、それがずっと願い続けている本屋としての目標です。
私の推し本
『小説』野崎まど
講談社
小説を愛するすべての人に捧げられた本。途中にでてくる一文に
どうしようもない息苦しさを覚えたが、ラストに感動し救われた。読む前と世界が少し違って、美しく見えた。