金沢駅の本屋です
うつのみや金沢百番街店(石川県金沢市) 小松稚奈さん

 

 金沢駅にある商業施設内の書店で勤務している。数年前の改装で売場面積が縮小。置ける本の数はぐんと減った。

 駅の書店として、地元の本屋として。どんな本を置き、なにを潔く諦めるのか。正解はどこに。

 広くない以上、売れ筋以外の本は多く置けない。駅の書店ゆえ、本を好む人だけが来るわけではないと心に留めている。ふと立ち寄る方も多く、そういったお客様にも我々は支えられている。

「熱量を押しつけない」「気持ちを出し過ぎない」。これがひとつめのこだわり。

 こだわりはときに人を惑わせ、そこから遠のかせる要因にもなりかねると思っている。一方で本や本屋を好む人になにか刺さってほしい、とこだわりをこめた棚もある。私は本と本屋が好きだ。

 昨今は〝本にまつわる本〟の出版が多くて楽しい。本そのものや本屋の作り方、読書について。書店員の悲喜ひき交々こもごももまたおもしろい。

 その想いから、「本について」という棚を設けている。十冊にも満たないラインナップだが、この棚から売れたときにはささやかな喜びを覚える。

 最後のこだわりは地元書店としてずっと販売してきた岩波文庫を残すこと。改装計画時に真っ先に決めたのがそれだった。

 若い世代が岩波文庫に出会ったとき、まずは頭の片隅にあの茶色の背表紙がどうか記憶されてほしい。

 読み継がれてきた世界のことばのかけらが、彼らのこれからのどこかで、そっと役立てばと願う。

 

本当に読んだ本にのみスタッフのおすすめ帯をまいています。

私の推し本

『わざわざ書くほどのことだ』
長瀬ほのか・著
双葉社

 

思わず「ふははっ」とこぼれそうになる笑いをこらえるのが大変なくらいにおもしろいです。いい感じに肩の力が抜け、なにかが整う感じで休憩明けも頑張れています。