2023年、双葉社がお届けした文芸作品のなかから、特に話題を集めたものをピックアップ! 数々のヒット作や、各賞の受賞、映像化、舞台化、豪華オーディオブックフェアなど、各作品の担当者が、熱い思いを込めてご紹介します。

 

 

50万部突破! 新感覚ミステリー

変な絵
雨穴
単行本

何かがおかしい9枚の奇妙な絵に秘められた謎を追う本作は、発売から1年が経った現在も人気は衰えず、50万部を突破するベストセラー作品になっています。小説とリンクした動画や音楽があったり、作中に登場するブログがインターネット上に実在したりと、小説だけにとどまらない楽しみ方や様々な角度からの考察ができるのが本作の魅力です。現在、最注目のホラー作家が描く、新感覚ミステリーをぜひお楽しみください。(新)

 

覆面作家・雨穴×小説紹介クリエイター・けんご 対談(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1783

 

 

ネタバレ厳禁! 紙の本ならではのトリック

逆転美人
藤崎翔
文庫

紙の本でしかできない驚きのトリックが炸裂。ネタバレ厳禁のミステリーがロングセラーになっています。発売は22年10月ですが、小説紹介クリエイター・けんごさんの猛プッシュからじわじわと広がりました。美人すぎるがゆえに不幸な人生を歩んできたシングルマザーの香織が、手記『逆転美人』を出版。その本の仕掛けが社会を震撼させます。23年10月発売の逆転シリーズ第2弾『逆転泥棒』とあわせて10万部を突破しました。(森)

 

 

美味しいごはんと優しい言葉に癒やされる

「喫茶ドードー」シリーズ
標野凪
文庫

おひとりさま専用カフェを舞台におくる「喫茶ドードー」シリーズが大ヒット中です。香ばしい焼き目のアップルパイが目印の第1巻『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』と、ふっくらとしたあんぱんが目印の第2巻『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』は、累計18万部を突破! 作中に登場する栄養たっぷりの美味しいごはんと店主がかけてくれる優しい言葉に、癒やされる人が続出中。24年には第3巻の刊行も予定しています。どうぞお楽しみに!(細)

 

人気の「喫茶ドードー」シリーズをご紹介!
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2260

 

 

絶品オフィスご飯で生活改善したくなる

まずはこれ食べて
原田ひ香
文庫

『ランチ酒』『三千円の使いかた』などで話題沸騰の原田ひ香さんが描く、お料理×お仕事小説。発売早々に重版がかかり、10万部を突破。社員達が忙しく働くベンチャー企業で家政婦を雇うところから始まる本作は、章ごとに絶品オフィスご飯が登場して、読むほどに自分の生活を改善したくなります。落ち込んでも、疲れ果てても、まずはご飯を食べることが回復の第一歩。原田ひ香さんとスープ作家・有賀薫さんとの対談もCOLORFULで公開中です。(田)

 

原田ひ香×スープ作家・有賀薫『まずはこれ食べて』10万部突破記念対談
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2376

 

 

生物学と医学知識×自然の脅威 傑作バイオホラー

ヨモツイクサ
知念実希人
単行本

医療ミステリーのヒットメーカーによる初のホラー小説が大好評。5月の発売から順調に版を重ねて6万部突破。舞台は北海道旭川の禁域「黄泉の森」。リゾート開発会社の作業員が惨殺され、警察はヒグマによる被害と断定したが、どうも違う。物語は7年前にあった一家行方不明事件と繋がっていた。これは謎の生物「ヨモツイクサ」の仕業なのか。最新の生物学と医学知識、そして自然の脅威が融合した傑作バイオホラーの誕生です。(森)

 

『ヨモツイクサ』知念実希人インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2201

 

 

問題山積一家のなぜか幸せそうな日々

じい散歩
藤野千夜
文庫

8月に発売後、1ヶ月で6刷の重版、今や15万部を超えるヒット作となりました。10月には続編となる単行本『じい散歩 妻の反乱』も発売され、ますます売れ行きに拍車がかかっています。あわせて180歳を超える老夫婦と、アラフィフ三人息子(みな独身。引きこもっていたり、自称・長女だったり、そして借金王!)の明石家は問題山積のはずながら、藤野さんの温かくユーモアのある筆致によって、なぜか幸せそうに見えるのです。

 

『じい散歩 妻の反乱』藤野千夜インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2540

 

 

人間ドラマとたくさんのお酒との出会いが楽しい一冊

ほろよい読書 おかわり
青山美智子
朱野帰子
一穂ミチ
奥田亜希子
西條奈加

文庫

お酒をテーマにした大好評アンソロジー『ほろよい読書』の第2弾が刊行となりました。今話題の作家陣によるお酒の物語は、胸を打たれる人間ドラマはもちろんのこと、様々な種類のお酒に出会えるのも楽しいです。第1弾とあわせて10万部突破に。インスタグラムでお酒と一緒に本の写真をアップされる読者さんが多いのも印象的で、まさに「読書」に付随する体験や時間そのものを楽しめる一冊。「我こそは酒飲み」という作家様、第3弾をご一緒しませんか?(田)

 

『ほろよい読書 おかわり』をご紹介!
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2150

 

 

「おひとりさま活」模様を描いた書き下ろし競作

おひとりさま日和
大崎梢
岸本葉子
坂井希久子
咲沢くれは
新津きよみ
松村比呂美

文庫

9月に発売し、年内に7刷まで増刷しました。かぼちゃのキッシュが作中に登場するのでカバー絵に持ってきて、同時に帯もパンプキン色に。秋っぽいベージュの背景と相まって、優しく可愛らしい装幀、気に入っています。6人の作家が書き下ろしで競作した、さまざまな「おひとりさま活」模様。主人公は48〜84歳、すべて女性です。元から「ひとり志向」だったり、離別の結果だったりと事情もそれぞれですが、みな前向きなのが共通項です。(山)

 

 

現代社会に蔓延する「本物の悪」を炙り出す

半暮刻
月村了衛
単行本

10月下旬に発売となるや即重版となり、11月末時点ですでに3刷と版を重ねている月村了衛さんの新刊『半暮刻』。全国の書店員さんからも絶讃の声が相次ぎ、豊﨑由美さん、池上冬樹さん、杉江松恋さんなど書評家の皆さんからも好評をいただいています。現代社会に蔓延する「本物の悪」を月村さんが小説として炙り出した意欲作です。未読の方は、ぜひこの機会に手にとってもらえればと思います。(佐)

 

『半暮刻』月村了衛氏インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2531

 

 

日本ど真ん中書店大賞2023受賞!

「三河雑兵心得」シリーズ
井原忠政
文庫

家康の天下取りの歩みを足軽の視点で描いた本シリーズで、「日本ど真ん中書店大賞2023」を受賞しました。愛知、三重、岐阜の3県の書店員が“いちばん売りたい本”を選ぶこの賞、著者の井原さんも「地元に認められて本当に嬉しい」と喜びを語りました。汗だく血だらけ泥まみれになりながらも、しぶとく生き残り、少しずつ出世していく主人公・茂兵衛の姿は多くの読者の共感を呼び、累計120万部を突破しています。(大)

 

「三河雑兵心得」特設サイト
https://fr.futabasha.co.jp/special/mikawa/

 

 

第12回 日本歴史時代作家協会賞作品賞受賞!

上海灯蛾
上田早夕里
単行本

舞台は1934年の上海。魔都の輝きに魅せられ、成功を夢見て渡ってきた日本人青年・吾郷次郎の栄耀と転落を描いた本作で、第12回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞しました。「魂を酔わせる至極の物語」(真藤順丈)、「混沌の時代を通じ、我々の本質にすら迫る極上のエンターテインメント小説」(澤田瞳子)、両直木賞作家がそう語るように、破滅へと突き進む男たちの熱く切ないドラマは、あなたの胸を撃ち抜くでしょう。(大)

 

『上海灯蛾』上田早夕里インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2064

 

 

第6回 文芸エクラ大賞受賞!

華ざかりの三重奏テルツェット
坂井希久子
単行本

60歳、定年退職を迎えたあとの人生はどうなるのか。男女ともに働いていれば、誰でも一度は抱く危機感ではないでしょうか。本作は、仕事を定年退職した独身の可南子と、介護と育児を終えた専業主婦の芳美が、60歳にして同居をはじめる老後小説。45〜50代が読者層の女性誌「エクラ」で第6回文芸エクラ大賞を受賞した本作は、退職後の人生に希望を持つヒントが満載です。結婚や仕事の有無に関係なく、残りの人生を楽しく生きるための物語です。(田)

 

『華ざかりの三重奏』坂井希久子インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2133

 

 

第6回 書評家・細谷正充賞受賞!

未知生さん
片島麦子
単行本

「未知生が死んで、葬式の帰り道、ぼくはどうにも釈然としない気分で街を歩いていた。」小説『未知生さん』は、この一節から始まります。冒頭の時点で、主人公の未知生は事故で死んでしまっていて、彼の葬儀に参列した高校の同級生、大学時代の元カノ、会社の同期と元上司、そして未知生の家族ら7人の視点で生前の未知生が語られますが、それは同時に7人それぞれの物語でもあります。ユーモラスでちょっとホロ苦い心ゆさぶる物語です。(奥)

 

 

第3回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞!

今日の花を摘む
田中兆子
単行本

出版社に勤めるかたわら茶道を嗜む51歳の女性主人公と、茶の湯の粋人である70歳男性との愛と性を描いた本作。「オール讀物」主催の第3回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞を受賞しました。まさに恋愛の甘美も辛苦も知り尽くしている「大人」の読者の方に手に取っていただきたい小説です。くわえて、会社での昇進問題やセクハラを巡る騒動、親の介護など、主人公を取りまく様々な問題を重層的に描き、読み応え十分です。(反)

 

『今日の花を摘む』田中兆子インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2217

 

 

「おすすめ文庫王国2024」(本の雑誌増刊)エンターテインメント部門第1位!

死にたいって誰かに話したかった
南綾子
文庫

さまざまな生きづらさを抱えた男女が「生きづら会」なる語り合う場をつくり、共同生活をしながら、すこしだけ前進する姿を描いた本作。「おすすめ文庫王国2024」(本の雑誌増刊)エンターテインメント部門第1位に選ばれました。発売後、衝撃的なタイトルからは想像がつかないほどたくさんの“元気がもらえた”という感想をいただきました。「しんどい」と話せる相手や場を持つことが自分の生き方にどう影響するか。考えるきっかけとなる一冊です。(岩)

 

『死にたいって誰かに話したかった』をご紹介! 
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1933

 

 

「名探偵・赤ずきん」橋本環奈さん主演 Netflixで映画化

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

青柳碧人
文庫

ドュドューン……のオープニングテーマで始まる動画配信のネットフリックスで、青柳碧人さんの『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が映画化されました。主役の「赤ずきん」を演じた橋本環奈さんは、小説が刊行されるやすぐに読了したとか。みなさんが親しんでいる童話の世界で名探偵・赤ずきんが次々と謎を解決していく様子に、多くの読者から喝采が寄せられました。続編も刊行されていますので、引き続きお楽しみください!(秋)

 

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』公式サイト
https://www.futabasha.co.jp/introduction/aoyagi/

 

 

豪華俳優陣が朗読したAudible版、フェア開催!

告白

 

贖罪

 

Nのために

 

境遇

 

未来

湊かなえ
文庫

湊かなえさんの作品を豪華俳優陣が朗読しオーディオブック化しました。『告白』は映画にも出演した橋本愛さん。『贖罪』はドラマ版で真紀を演じた小池栄子さん。10月に朗読劇にもなった『Nのために』はドラマに主演した榮倉奈々さん。同じくドラマ版で主演を演じた松雪泰子さんには『境遇』を、まだ映像化していない『未来』は湊さんたっての希望でのんさんが朗読しました。いずれも圧巻のクオリティです。あわせて全国書店で俳優陣による推薦コメント入りの帯を巻いたオーディブルフェアも開催しました。(佐)

 

読んで聴く、湊かなえフェアが開催!
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2601

 

 

芥見下々イラスト特製幅広帯&300万部突破記念サイン会ツアー

告白

湊かなえ
文庫

湊かなえさんのデビュー作にして大ベストセラー小説『告白』の文庫300万部突破を記念して『呪術廻戦』芥見下々さん描き下ろしの特製幅広帯を作成しました。あわせて全国の書店さんで「店頭飾り付けコンクール」を開催。全国6ブロックにわけて最優秀店を選出し、その書店さんで湊さんのサイン会を行いました。北は福島から南は宮崎まで。4月から8月にかけて全国を走破。多くの読者と触れ合う機会になりました。(佐)

 

湊かなえ双葉社オフィシャルサイト
https://fr.futabasha.co.jp/special/minatokanae/contest/results/

 

 

中村隼人さん演じるマイペース若旦那 NHKでドラマ化

「大富豪同心」シリーズ

幡大介
文庫

主人公の卯之吉はいつもマイペースで、同心なのに絶えずへなへなしています。正体は江戸一の大店の若旦那だから、財力を使ってしばしば周囲をア然とさせます。そのゆるさがドラマでも受けてついに第3シリーズが6月から始まり、新たに書き下ろされた原作4巻分を3ヶ月連続刊行しました。23年は「大富豪同心まつり」と銘打って1月からドラマのシーズン1、3月からは2がNHK総合で再放送され、中村隼人さん演じる卯之吉にたっぷり癒やされた卯年でした。(山)

 

 

著者自身の生い立ちを元に描いた母娘小説、舞台化

タカラモノ

和田裕美
文庫

ビジネス書作家の和田さんが自身の生い立ちを赤裸々に描いた本作は、14刷6万部を突破し、23年、正田達也監督により舞台化されました。主人公のほのみの母は、派手な服で自分の意見をはっきり言い、外に男を作ったり、家出したりもする型破りな女性。けれど娘への愛情は誰よりも強く、「あなたはわたしのタカラモノ」と言われて育ったほのみは、人生の困難を一つずつ乗り越えていきます。舞台では号泣する観客が続出。24年に再演を予定しています。(田)

 

『タカラモノ』著者・和田裕美インタビュー(前編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1492

 

 

NHK連続テレビ小説の脚本家による夫婦小説、朗読劇に

したいとか、したくないとかの話じゃない

足立紳
文庫

大好評のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本を務める足立紳さんの小説が朗読劇になりました。23年4月20日〜23日までの公演で、妻役は篠原涼子さんと佐藤仁美さんのダブルキャスト。夫役もダブルキャストで山崎樹範さんと荒木宏文さんが演じました。小説とはまたひと味違う、夫婦二人の罵り合いと魂のぶつけ合いが迫力満点でした。劇中ドラマも凝っていて観客を楽しませる工夫に満ちた朗読劇となりました。(佐)

 

『したいとか、したくないとかの話じゃない』 足立紳・晃子夫婦対談 第1回 
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1147

 

 

NHK FM「青春アドベンチャー」でオーディオドラマ化

うるはしみにくし あなたのともだち

澤村伊智
単行本

地域に伝わる「他人の見た目を思いのままにする」おまじないによって、クラスが恐怖の渦に巻き込まれる─ホラーや怪談小説の名手による学園ホラーミステリーが、23年1月にNHK FM「青春アドベンチャー」にて連続オーディオドラマ化しました。主演の桜庭ななみさん・忍成修吾さんたちの演技で、よりいっそう恐怖が増す作品に。現在、文庫が発売中です。(岩)

 

『うるはしみにくし あなたのともだち』著者・澤村伊智インタビュー(後編)
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2435

 

 

遠い異国の男性と「写真結婚」をした女性たちの姿

アロハ、私のママたち

イ・グミ〔著〕
李明玉〔訳〕

単行本

韓国児童文学の旗手イ・グミさんのベストセラー小説『アロハ、私のママたち』の邦訳版が刊行されました。舞台は1920年代のハワイ。日本統治下の朝鮮から人生を変えるために故郷を離れ、遠い異国の男性と「写真結婚」をした女性たちの物語です。次々と襲いかかる試練にもめげず、時には大喧嘩をしながらも明るく逞しく生きる彼女たちの姿に勇気をもらえること間違いなし! タイトルの意味が明かされる驚きの結末にぜひ涙してください。(中)

 

 

 来年も話題作をお届けしますので、是非ご期待下さい。そして2024年、双葉文庫は創刊40周年を迎えます。

 さまざまな豪華記念フェアを予定していますので、どうぞお楽しみに!