しらすのアヒージョは学園ドラマみたいなもん
妻から、「これ食べたい」とインスタの料理動画が送られてきました。とある休日のことです。僕が休みの日は、僕が料理当番。なので、その動画を見てみます。
大葉を細かく切って、ニンニクはミジン切りにして、オリーブオイルにニンニク入れて、香りが出るまで加熱して、しらす載せて、トロッとしたら大葉入れて、バゲットつけて、完成――「しらすのアヒージョ」の動画でした。
分量などはありません。こちらで自分好みに完成させます。
ここが大事なんですよ。こういう料理動画やレシピって必ずしも100点ではないと思うんです。誰が食べても「美味しい」、万人受けする味。「めっちゃ美味しい!」ではない。なのでもちろん、不味くもない。70点くらいかな。あくまで、僕のなかでは……ですよ。食べる人に100点って言わせればいい。カレーのレシピを見たとき、このルーを使ってくださいって書いてても、それに従う必要はないと思うんです。自分の好みのルーがあるやろうし、スパイスカレーのルーでもいいやろうし、自分のなかで、「今日はコレ食べたい」って気持ちが大事なんです。ポークカレーのレシピを見ても、肉は重いなって思ったらシーフードに変えてもいい。これが「家族の100点」を叩き出すコツです。

さて今回は、しらすのアヒージョ。
ここで書くまでに、5回ほど作りました。家族に調査したところ、バゲットの厚みもそれぞれ好みが違いました。僕は薄めでサクッと食べたい。妻は1cmくらいの厚みがいい。子供はどっちでもいい。最初はもっと厚いのを作ってみたけど不人気で、どうやら1cmが一番減りが早かった。結局、我が家の定番は1cmくらいとなります。
具の方ですが、ニンニクは3カケ入れることにしました。パンに載せやすくするために細かく刻みます。フライパンにオリーブオイルは5mmくらいヒタヒタに入れてもいいでしょう。多くない?って思うやろうけど大丈夫です、具が吸います。
さて、動画内の具の要である大葉はなくしました。次女が避けて食べてたのと、あんまり長い時間鍋にかけてるとさっぱり感もなくなるし、かわりにねぎを入れてみたら美味しかった。でも、これも完成系ではない気がしてます。載せるタイミングも大事です。出来上がってから入れる方がシャキッと感が残っていいです。大葉で作るときも最後がいい。
動画にはなかったけど、我が家ではきのこ多めが好みです。マッシュルーム、椎茸、エリンギ、どれも薄切りでいいです。フライパンに山盛り載せても、しんなりして半分以下にまで嵩は減ります。
他には、試してみたズッキーニも脂を吸って美味しかった。輪切りやと面積とって嫌かなーと思って、くし切りにしてみたら、掴みやすくて食べやすい。乱切りでもよかったかなって、書いてて思いました。
アスパラやブロッコリーも美味しいでしょう。でも、パンに載せにくいか。イタリアンに合う食材なら何入れても美味しいと思います。プチトマト入れても……とか、想像するだけでも美味しいです。でも気をつけてください。こういうふうに考えてるとね、あーこれも美味しい、これも美味しいやんって考えてると、お腹がいっぱいになります。お腹っていうか、口がいっぱいになって、なんか食べれなくなります。スーパーでうろうろしてるときの僕の“あるある”です。これを人に話すと“ないない”ですけど。
で、野菜以外には、サラダえびも美味しかったです。夕方に行ったらセールになってる水タコの薄切りも美味しかった。パンに載せやすい大きさのものがいい。特に、桜えび入れてみたら、これも美味しかった。桜えびはサラダえびと違って、しらすと大きさが変わらず、しかもきれいな桜色になります。ただ、これが難しいところなんです。
作りたいのは”しらすのアヒージョ”なのです。あくまでも主役はしらす。しらすを食わない具にしないといけない。なので、厚切りベーコン入れちゃうと、ベーコンのアヒージョになっちゃう。しらすが脇に行っちゃう。これではしらすのマネージャーが怒ってきます。「何してくれまんの? ウチのしらすが目立ってまへんやん」って。邪魔しない共演者がいいのです。
鶏肉入れてもウインナー入れてもしらすが負けちゃう。しらすって非常に薄めの主役なのです。映画『101匹わんちゃん』みたいな感じか。懐かしいね。ダルメシアン1匹じゃ普通じゃん、101匹出しちゃえよっていう企画やったのかな。でも、こちらはしらすです。101匹では少なすぎます。200gくらいは欲しいです。『101匹わんちゃん』ならぬ、『200gしらすちゃん』です。というわけで、2パックくらい入れちゃいます。これくらい多くないと何者にも負けちゃいます。
こういう、主役がいっぱいいるような話、テレビドラマの学園ものでよく見ますよね。毎週、問題を起こす生徒が変わって、職員室で問題が起こる回もあったりして、視聴率次第ではまた同じ問題を起こす生徒が出たりしてね。学園ものアヒージョでは、生徒がしらすです。
この白い制服のしらす学園にピンクの桜えびを入れたら、学園ものに他校が入ってきちゃう。学園対決ものになっちゃうので、桜えびを入れるのは我慢してください。美味しいねんけどね。最初のコンセプトと見た目は大事です。
――と考えてました、アイツに出会うまでは。
ここまでしらすを守ってきたのに、申し訳ない。しらすは減塩のでも量が多いのでもなんでもよかったんです。大事なのはフライパンの真ん中に鎮座するカマンベールチーズです。
試しに入れてみたらビックリ、今までの試行錯誤が吹き飛び、どうでもよくなるうまさでした。これ400円くらいのものではなくって、高級カマンベールにしてください。800円くらいかな。400円のやと、溶けちゃうんです。溶けて具に絡みすぎて、邪魔になる。カマンベールが、ドンと形を残しててほしい。スプーンで掬いやすいのはやっぱり高級路線でした。そんなカマンベールをマンゴー切り(サイコロ状)に切ってください。
結局学園もので大事なのは生徒ではなくって、まとめる役のカマンベール先生です。
いいところの先生を雇ってください。
それが有野学園のしらすのアヒージョです。
