風邪をひとりで治すとレベル2アップ
風邪をひきました。正確に言うと、ひきかけました。危なかったです。きっかけは分かりません。
仕事に行くと、たくさんの人に会います。マスクの方も多いし、顔色も見えへんので体調悪いかもわからないですしね。咳してる人がいれば近づかないし、10分おきに水飲んで、喉の粘膜にウイルスがつかないように気をつけたりしてました。それでも風邪ってひくんです。
昔は多少体調が悪くても仕事には行ってました。ただ、これはキツすぎるって時だけ病院に行く。検査したらインフルエンザで、休みをもらって、治った翌週には大丈夫かって優しく声かけてもらったり――というのは、表に立つタレントの話なのです。
こんなことがありました。
ロケの現場に行くと、マスクをしてる熱っぽいスタッフが先輩スタッフと話してます。
「もしここで病院行ってインフルエンザだったらどうするんだよ! お前、責任とれんのか!」
分かりますか? この理不尽。
熱出してるスタッフが風邪で休む。当時はLINEグループなんてないので、仕事内容の共有なんてありません。この人がやってた仕事は、この人にしか分かりません、仮に休んだとしても、ロケ中ずっと連絡は来るでしょう。
「あれはどうなってる」
「関係者の電話番号は?」
「あの仕込みはどうなってる」
病院に行ったとしても、待合室では連絡できないでしょうから、結局外でずーっと電話。双方大変です。
でも先輩スタッフの言う“責任”にも、重みはあります。すでにインフルエンザのスタッフが現場にいる。そうなると、出演者に感染させたらどうするんだ、という問題は生まれます。
いや、そもそもしんどい人いれたらアカンやろ、というのが現代ですが、ブラウン管の時代にはそれがなかった。年末の特番になると、マスクして咳してるスタッフが飲食を用意してくれてたりする光景は当たり前にありました。なので、そういう現場に参加したら、貧弱芸人の僕なんかは、翌日から風邪ひいて、正月休み中ずっと熱出てるって独身時代もありました。独りでヨレヨレでお風呂に入って、汗だくの衣類を着替えてタオルで体拭いて、「これ治ったらレベル2コ上がりますように!」って呟いて……。
それにひきかえたら、令和最高です!

さて、今回僕が書きたいのはそこじゃなくって、副菜の話。
風邪ひいて食欲がなくなると、なかなか主菜は食べれません。独身時代は何食べてたかな? って考えると、シスコーンに牛乳入れて食べてました。朝食? 違います。シスコーンがモニョモニョになるまでは牛乳を浸透させません。サクッと感は残して、軽く噛んで飲み込みます。魚の骨が喉に引っかかった時に、白ごはんを丸呑みする感じ。今ではよくないって言われてますが、昭和はそんな感じで丸呑みで喉に張りついた魚の小骨を飲み込んで取ってました。そんなイメージでシスコーンを流し込むと、喉のイガイガのエヘン虫(懐かしい?)が取れるんです。正確に言うと、喉のエヘン虫をこそぎ落とせる “気がする”。イメージするってところ、これが大事なんです。
勝手にそんな想像療法をやってたけど、ある日の病院で、
「お独りで食事大変でしょ、フルーツゼリーとかプリン食べてください。栄養価も高いし食べやすいですよ」
って言われて以来、そのスタイルになりました。確かにフルーツ剥くのんめんどくさいし、フルーツゼリーでええなと。こんな時くらいはって病院帰りに高めのプリンを買ったりしてね。1日3食それぞれ2個ずつ、3日寝込むとしたら20個くらいか……と、何人家に遊びに来るねんってくらいデザートを買う、マスク姿のヨレヨレの僕。「こんなヨレヨレでパーティできるのか?」って店員に心配されたでしょう。そういうわけで、スイーツに囲まれながら、寝込んでました。
もっと昔の小学生時代はどうでしょう。父親は「梅干し茶飲んで寝ろ」って言うてました。焦げ目が少しつくくらい網で梅干を焼いて、緑茶に入れて飲む。当時は嫌でした。テレビを見てると、風邪の時だけメロン食べられる人がいると知って羨ましかった。ウチは梅干し茶やのに。
風邪も治りかけて食欲が戻ってきたら、味噌汁にご飯入れて、ご飯がブニャブニャになるまで煮込んだものに、焼いた梅干しを載せたのを親が作ってくれました。僕、これは好きでした。朝に急いで食べる味噌汁かけご飯ではなく、煮込まれててご飯がやらかい。それを普段食卓に並ばへんレンゲで食べるってのが好きやったのかな。
風邪治って学校行っても、「声変やで」とは誰にも言われへんなって思ってたけど、今、ネットで調べてみたら、本当に梅干しの効果だったようです。
梅干しに含まれるクエン酸は、加熱すると血流促進効果がある成分に変化し、体が温まります。緑茶のカテキンには抗ウイルス、殺菌作用がある。めっちゃ合理的な組み合わせでした。
でも、失敗やったのは“たまご酒”です。テレビで見たのかな、風邪の時はこれ飲んだら一発で治りますよって言うたので、「たまご酒飲みたい」って頼むと、母は「そんなん知らんで」と言いつつも、パートから帰宅して作ってくれました。風邪でしんどいくせに、テレビで見たやつが飲めるって喜んで、布団から出て飲みました。
少し生姜の入った溶き卵のスープっぽいけど、これがたまご酒か……と思いつつ、あったまったわって母に伝えて布団に戻る。完治してから、「たまご酒ってどうやって作ったん?」と聞いたら、
「あれ? ただの卵スープやで」
騙された! って思ったけど、まぁ未成年に酒は出されへんかって納得しました。
改めてたまご酒についても調べてみると、風邪のひき始めに効果的だそうです。ただ、アルコールに利尿作用があるので、脱水症状には注意が必要とのこと。材料には少量の砂糖がありました。これは混ぜてから温めるのかな。見た目はプリンぽかったです。
さて、令和です。今回、風邪をひきかけた僕は、帰宅して、喉に違和感を覚えた時点で、漢方薬飲んで、夜中に目が覚めたら、やっぱり喉が痛いなと、今度はきつめの漢方。翌朝、まだ治ってないので、耳鼻咽喉科へ。喉がだいぶ腫れてたので、風邪薬を処方してもらった。
「朝から飲みましょう」
ビールじゃないですよ、お薬です。
「4時間毎に飲んで早く治しましょう」
で、たくさん寝たら、熱が出る前に治りました。結局、早めに病院行くのがいいね。
