キャベツとウインナー焼いただけ
手抜き料理してますか?
僕の中では簡単で手を抜いてるつもりの料理でも、家族には喜ばれることもあります。それが「キャベツとウインナー焼いただけ」です。手抜きやと思われない手抜き料理を作って喜んでもらえた時って、嬉しいですよね。
では、手抜きと手抜きじゃないものの差ってなんでしょうか? 僕にしたら野菜炒めってすげーめんどくさいです。たくさん切らないといけないし、みんなが食べる量を考えないといけない、炒める順番も、調味料選びも……とにかく、考えることが多いです。
どうやら、考えることが多いと、僕の中では手抜きではない、「手の込んだ料理」になるみたいです。
例えば、今日の晩ごはん何にしようかと買い物に行きます。そのついでに、明日のお昼ごはんについても考えます。こうなると、胃のもたれ具合まで想像しないといけない明日の昼ごはんは、今晩よりも「手の込んだ料理」になります。

同じような話が、仕事でもあります。
例えば、番組の収録。スタジオゲストにお呼ばれすると、たくさんのアンケートを書きます。ゴールデンの番組で1時間枠やとしたら、質問が20個はあるでしょうか。僕はね、全部は書かないんです。20個も質問があったら似た質問もあるので、「5番と同じです」とか書いちゃう。質問がナンバリングされてない場合も多いので、数字も勝手につけて、効率よくまとめます。
とにかく、一所懸命全部埋めるってことをしません。あるところは書くけど、ないところは「ないです」って書いちゃう。そのうえ、「5番と同じです」なんてズルするもんやから、使い所が少ないんでしょうね。当日に「〇〇さんがこんな話をされるんですが、有野さんが前回アンケートで近いこと書かれてて、あの話やってもらえますか?」って頼まれたりします。今回のアンケートでは使えるところがなかったから、古いやつを引っ張ってきてくれたらしい。スタッフの丁寧な仕事ぶりに、手が込んでて大変やなと思いました。
こんなふうに、1番組のスタジオに出入りしてると、スタッフサイドの手の込んだ作りが見て取れます。工場見学番組もブームで一気に増えて一気に減りましたが、これも他の番組がやっていないかどうかのリサーチしたり、現地に行って撮影の許可取ったりね。工場側に「ここはカメラ止めて欲しい」って言われて、帰って総合演出に伝えたら「そこがないと意味ないじゃん」って怒られて、また工場に行って……とか、これも大変です。
衝撃映像動画も許諾と値段の交渉が大変やろうなって考えると、結局のところ、スタッフからすると、「街ブラ」が1番楽なんでしょうね。お店の許可は現地でタレントが行くし。もちろん、スタッフも下見はしてるんやろうけど、なんとなく許可くれそうかどうかのアタリはつけてると思うんです(夢ないこと言うてごめん)。
で、尺的に3店舗入れるとしたら、この店からの移動が長いからトーク部分はこの話をしてもらおうとか、構成も想定しやすいと思うんです。ゲストへのアンケートはあるけど少なめ。「アレルギーありますか?」「好きな食べ物は?」「マイブームは?」ってくらい。マイブームにまつわる店を探して、ロケをその辺りにするかもしれないしね。
さて、準備が整ったところで頑張るのがタレントです。何もない移動時間の1時間を埋めないといけない。オープニングが終わって、聞き込みが済んで、お店までの距離を聞いたら、ここで何話そうかというトーク力が試されます。ここで揉める流れ、喧嘩とかは絶対ダメ。仲良く移動して、みんなで美味しく食べましょうっていうのがいい。揉めるのは後半です。「もう歩けない!」「頑張れもうすぐだ!」みたいなセリフがあれば、オープニングのダイジェストに使われますよ。そんなことも考えながらテンション上げるコメントを挿めれば1人前ですね。
で、無事にお店に着いたら、おすすめのお料理を頂きますよ。店長が横に立ってくれてお話を伺えるので、変なコメントや否定的なのはダメ。どんだけ面白かっても使われません。お店で撮影させていただいてるんですから。他人の家でそこのお母さんに作ってもらったご飯を否定しないでしょ。それに、否定してるところを見たくないでしょ。そんな感じです。ただ、ここで頑張らないといけないのは、前の人と同じことは言えないってところです。だから、同じ料理は注文しないほうがいいです。コメントが同じになるか、前の人を否定しちゃうことになるので。店のおすすめを頼んだら、旬のもの、期間限定とかいいですね。前の人が料理を褒めてたら、次は店の雰囲気を褒めてみましょう。とにかく褒める。いけそうならば、店主をいじってみましょう。それも相手は芸人ではないので、踏み込みすぎない。店主がよくても、視聴者が心配しない程度がいいでしょう。
さて、ここまで読んでて、わかりますか?
街ブラロケって、見てる人には簡単そうでも、やる方には技術が伴います。それを芸歴っていうのか、場数っていうのか分かりませんが、ここに辿り着くまでにはたくさんの失敗を重ねて、結構な手間暇がかかってます。って考えると、街ブラロケは若手だけで行かせるのは難しい。ベテランがいて初めて安心感が出るのかな。
でも、僕の中では単独ライヴに比べたら全然楽やし、アンケートたくさん書く番組よりも楽しい。アンケートがある番組って、「ここでこの話してください!」って縛りが窮屈で疲れるんです。好きなタイミングで好きな話をしたい。特に司会進行でもない、裏回しとかを任されるとバランスも見ないといけないし、すごく疲れる。収録が終わって、「あれでよかったんですかね?」って聞いて、よかったですって言われても、心のどっかで信じてない。それに比べると、街ブラロケって楽しい。「お店の人喜んでましたよ」これで十分満足して帰れる。
考えてみたら、街ブラロケも僕の料理も同じなのかもしれない。
見てる人や食べる家族には、大変なところを見せずに「あぁ、楽しかった」「美味しかった」ってただ喜んでほしい。だからこっちは、上手に手を抜く。
でもね、ただサボってるわけじゃないんです。手を抜きながらも、実は「ここは!」ってところに、こっそり技術やこだわりを詰め込んでる。手抜きに見えて、実は手の込んだ料理で、家族に「おっ」と思わせたら勝ちです。
