成人式
長女が今年、成人式でした。
2006年に子供が生まれて、「この子が成人するまで20年は頑張らないと」と決心した矢先、2年後に次女誕生。「さらに20年頑張る」と上書きされました。当時の僕ら夫婦にとっては大変な覚悟やったけど、過ぎてしまえばあっという間ですね。仕事柄いろんな年齢の方と話すので、成人式にまつわることもリサーチしてました。予約がギリギリになったせいで、夜中3時から着付け、一旦帰って7時から美容院にてメイク、昼から式に参加してクタクタになった人の話も聞いてたので、それに比べたら朝7時に着付けに送り出すのも平気でした。
さて、そんな成人式でしたが、ここに来るまでにもたくさんの式を催してきました。初めてはお宮参り。生まれて30日過ぎにやりました。妻からしたら産後間もない時期なので、だいぶしんどかったそうです。もし自分が病気で入院して退院から数週間でお祓いに行くなんて予定立てられたら断るなと思い、今こうして書いてて大変さが分かりました。申し訳なかったです。
当時は大阪から親もやってきて、出会い頭に妻がびっくりして一言。
「お義母さんが長女ちゃんのおでこになんか書いてる!」
最初は何のことかと思いましたが、関西のお宮参りのやり方で“子供のおでこに文字を書く”というのがあるようで、関西人じゃない妻は当然それを知らず。僕もその日初めて母からやり方を聞いて、
「口紅でええか」
「何それ?」
「小って書くんやで」
「へ〜」
なんて言いながら準備してました。そんなもんかと思っていたら、その結果が妻の「おでこになんか書いてる!」でした。
悪霊を遠ざけるために、小の他にも大、犬やら、点やバツを書く地域もあるそうで。地域ごとに意味も色々あるのを知ったのは、これ書きながら調べてるからです。その時の僕は、妻が驚いたことにびっくりしました。
「おでこに字ぃ書いてる!」
「おでこに字ぃ書かへんの?」
「書かないよ!」
書いてしまったのはしょうがない。何も知らない、生まれてひと月の娘は『キン肉マン』の“肉”みたいに、おでこに真っ赤な口紅で“小”って書かれてる。アメリカ出身のテリーマンはおでこに“米”、中国出身のラーメンマンは“中”、では“小”がつく国ってどこやろう……と検索したら、インド洋に浮かぶコモロ連合が“小茂呂”でした。それやと、長女が小茂呂出身ってことになっちゃうので、意味がわからん。なので、かわいい小悪魔の“小”ってことにします。しかし、初めて親として参加した儀式とはいえ、何も知らなかったのは娘にも申し訳なかった。でも、あの文字のおかげか、すくすく育ちましたよ。
その次のセレモニーは七五三。七歳の時は、妻が七五三で着た着物を、お義母さんにいただいたりもしました。
こうして決まった日にお祝いをやるなんて、独身の頃は考えもしなかった。
子供が生まれて初めて、ちゃんとお祝い事について調べるようになりました。大昔、病院もなかったような時代は、子供は病気になると治りにくかったそうです。なので、節目節目にお祝いする。7歳までは神の子として自分のとこで預かってる状態で、大事に育てる。7歳過ぎてやっと人の子になるって考えられてたそうで(諸説あります)、そんな深い意味があったのかと感心しました。現代は病院があるとはいえ、やっぱり節目にはお祝いしました。
そうこうするうちに幼稚園の入園式、卒業式、小学校の入学式、卒業式と、いろんなセレモニーがあって、僕の中では終焉に近づいてます。長女はもう大学生なので、次は卒業式がセレモニーのラストチャンスです。結婚式は期待するもんじゃないので、数には入れません。

そんな僕の中での長女の成人式。
「大学も行かしてもらってるし、着物はいいや」
って最初は言うてたけど、直前で何やらやっぱり着たいと言い出し親はバタバタ。初めての成人式の前撮りにも、
「何それ? 前撮りってなに?」とは、なりません。
何せ、仕事柄いろんな年齢の方と話すので、前撮りについても知ってました。でも、親も参加するということまでは知りませんでした。スーツを久々に出して、着物をお借りする所までついて行って、髪飾りは別日に買っておいたものを持っていきましたが、着物と小物はその場で選びます。こういうのは妻がよく知っててくれていて、僕なんてスーツのネクタイも決めてもらってる。娘がメイクしてもらってる間、夫婦で待つ。よその家の娘を見て、綺麗ねぇ、なんて話しながらも、落ち着かない。親は三面鏡についてるような小さな丸い椅子に腰掛けて待ってる。180cmの僕が。
何度も立って、うろうろ歩いて、座って、腰痛いと感じたら、また立って、もう小物も決まってるのに、小物見に行って、居心地が非常に悪かった。婦人服の買い物について行く感じ。どこに立っててもベストポジションがないんです。
それはそうなんです。店内に僕が身につけるものは一つも置いてないねんから。そんな僕を察して妻は「外に行ってていいよ」って言うてくれたけど、断る。そうしたら参加してない感じになっちゃうやん。
3時間ほど待ってようやく、お店の方から「お父さん、お母さん、どうぞ」と、呼んでもらって奥に入る。薄暗い倉庫みたいな感じで、さらにこの奥にスタジオがあるんやと思ったら、倉庫みたいなそこがフォトスタジオでした。ただ、壁が綺麗。和式、洋式、いろんな写真が場所ごとに撮影できるようになってて、着物に合わせて壁のシートをめくれば色も変えられる。ええやん。
すると、カメラマンが「好きな音楽はなんですか?」と聞いて、娘の好きな音楽をかけてくれた。ムードもいいやん。無事、写真を撮り終えて、そのまま着物を借りて帰ります。帰り道、車の中ではええ写真撮れたなぁと話してたけど、欲を言うと僕は山口百恵さんの『秋桜』をかけてほしかった。まあ、でも、これは成人の歌ではないか。
そして、成人式本番です。ここに来るまでには、成人式に参加するため徹底した体調管理。外食は控えたり、何かしらの大会に向かうかのような管理態勢でした。僕? 気にせず生モノもバンバン食べてましたよ。
当日は朝7時から美容院。10時からブーケを引き取りに。朝ご飯に僕と妻は肉まんを、長女は着物にこぼしたら良くないので、汁のないチーズまん。僕だけ気分が欲しくて、お赤飯もスーパーで買いました。
そういえば、毎年ニュースになる“荒れた成人式”だって、親はいろいろ手伝ったりしてたのかなって考えたら、“荒れた成人式”について来る親にも密着してほしいなって思ったり。親にだって、いろんな思いがあるんです。
改めて考えると、長女が成人したってことにも、じわじわ実感がわいてきました。
こちらが心配して口出そうとしても、「あ〜、もう電話したよ」と済ませてたり。一人でできないんじゃないかなって助言すると、「できるわ!」と、ツッコまれたり。辛いもんも食べるようになったなぁ。そんな端々から大人になったなぁって思えます。
斜に構えていた20歳の僕は成人式にも参加したくなくて、仕事にかこつけて行かなかった派なので、それと比べたら全然大人ですわ。
成人を迎えた子を持つ人たちも、一旦ご苦労様でした!
