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お好み焼き万博開催

 

 この連載も15回。これまで、副菜の魅力について語ってきました。

 “副菜”って、料理だけじゃなくて、その素材にもなんとなくイメージがついているような気がします。

 キャベツは副菜っぽいですよね。野菜やからかな?

 豚バラ薄切り、これも副菜っぽいね。ロースやと生姜焼きとか主菜になるけどね。でも、豚バラとキャベツ合わせてみたら――豚玉やん! お好み焼き! 主菜になってもうた。でもなぁ、ここでは副菜に絞るルールに沿って書いていきたいねんなぁ。

 あ! でも僕はそもそもルール無視するタイプやん!

 例えば、「アジフライにかけるなら?」と聞かれて、選択肢がA・中濃ソース、B・タルタルソースの2択だったとして。皆さんは「絶対中濃ソースやろ」「いやタルタルでしょ」とそれぞれ意見があるでしょう。でも僕は、そこで「僕はおろし麺つゆがええな」。

 イヤイヤ、2択でしょと言われそうですが、それがチームの輪を乱す天邪鬼担当である有野の芸風なんです!

という訳で、今回はお好み焼き万博を開催します(チカラ技)!

 

 お好み焼き万博とは!?

 大阪もしくは広島のイメージがあるソウルフード、お好み焼き。でも料理って、他国に渡って初めて味が広がると思うんです。

 例えばパスタ。トマトソースかアーリオ・オーリオ(ニンニク鷹の爪のやつ)が日本にやってきて、そこから明太子パスタが発明されたと思うんです。中華でエビと言えばエビチリやった時代に、周富徳さんが日本人向けにエビマヨを考えたとかね。だから、お好み焼きもそろそろ海を渡るべきなんです。

 ところが大阪の人に聞いてみたらこう言うでしょう。

「いや、お好み焼きにはソースしかないですわ」

「たこ焼きはアレンジしてもええけど、お好み焼きは譲れまへんなぁ」

 まぁ、誰にも聞いてないんですけど、大阪の人も納得するようなレシピをどうにか考えてみようと思います。

 

 生地には何を入れてもまぁイケるんです。なので、ソースから考える方が良いのかも。

 ってことで、お好み焼き万博、まずは韓国に行ってみます。「韓国の料理人がお好み焼きを考えたら?」って想像します。

 例えば、最近いろんな所で見かける薬念ソースは?

 あれ? 待って。「ヤンニョム」って入力したら、「薬念」って漢字に変換される!

 調べてビックリ! 「薬念」って韓国料理の合わせ調味料の総称なんやて。

 マヨネーズやらお好み焼きソースと発想は同じってことか。で、オリジナル薬念(ヤンニョム)ソースを考えてみます。甘辛いソースやから、たとえば甘味が強めのはちみつに、ケチャップの酸味、醤油も少し入れましょうよ。……それを豚バラお好み焼きに?

 少し違和感があります。なんやろう? 美味しそうじゃない。ソースと具材の相性もあるんかも。

 ネギの代わりにニラ。エビ、イカ、ホタテの海鮮も良いな。これを薄めに焼いて、ヤンニョムソースをかけて、食べてビックリ、これ海鮮チヂミやん!

 お好み焼き作りたいのに、似た料理があるとそっちに引っ張られてしまう。もっと遠くへ。お好み焼きがない国に行ってみようか。

 ってことでイタリアは?

 まず思いつくのは、バーニャカウダソース! あれは美味しいね。初めて本格イタリアンに行った時は、「野菜を温かいソースにつけるってなんなん?」っておっかなビックリ。アンチョビでそんな美味しい野菜の食べ方あるんや、と驚いたのを覚えてる。

 ただ、お好み焼きにそのままかけるには、アンチョビがしょっぱすぎる。となると、お好み焼きにかけるならパスタソース。ボロネーゼの赤いトマトか、ジェノベーゼの青いバジルか。どっちも合いそうやなー。これは考えがいがあるやん。こういう、光が見える瞬間が楽しいですね。

 ボロネーゼを載せるなら、お好み焼きはシンプルなのがええんかな。もう具なしでも良いくらい。餅とチーズだけにしても、ひき肉のソースに合いそう。さらに、パセリと粉チーズもトッピングして……こうなると完成系が見えすぎてつまらない。却下。

 ジェノベーゼで考えよう。

 ジェノバ地方で食べられたからジェノバ風。バジルとニンニクに、松の実をミキサーにかけるか包丁で細かく砕く。これもお好み焼きに合いそう! なので却下。ね、天邪鬼でしょ。

 

 美味しくなりそうならええやん、と思われるでしょう。でも、“光”が見えすぎなのは嫌なんです。

 お仕事でね、いろんな美味しいもの食べさせてもらって、味の表現をたくさんやってきて分かったことがあるんです。ほんまに美味しい時って「美味しい!」って言わないんです。高めのテンションに驚いた声で、「何これ!」って言っちゃう。

 人って、何かを食べる前に、味を想像してるんです。無意識に。だから、その料理のことを知ってても、その想像の遥か上を行かれると、思わず口をついて出てくる。

「何これ!」

 その辺、気にして観ると、テレビの食レポもより楽しめるかも。

 味、食感、口に入れてすぐ分かる“何これ感”が大事なんです。もちろん、他のが美味しくないってわけではないですよ。美味しいのは美味しいって言います。ただ、“何これ感”を目指そうと思ったら、ちょっと違うところも検討したい。

 

 ってことで、フランス!

 ベシャメルソースかなー。

 無地のお好み焼きの上に、小麦粉、牛乳、バターで煮詰めたグラタンにいけそうなポテっとしたベシャメルソース……これもいいけど、具は欲しいなぁ。

 最近もまだ寒いから、ブロッコリーにアスパラ、ホタテにエビもええやん。コテでひっくり返す焼き方じゃなくて、サラッとした生地を耐熱皿に流し込み、ブロッコリーにアスパラにホタテにエビにチーズも入れちゃえ。粉チーズかけたらおこげもできていいか。オーブンで一気に10分くらい焼いて、器は耐熱皿そのままで出そう。そしたら、“何これ感”も出るやろう。

「何これ? グラタンやん!!」

 あかんがな。却下や。フランスあかん。

 ほな、アメリカや! 困った時のアメリカ。

 アメリカはアメリケーヌソース! エビにトマト缶の感じ。これは良い。お好み焼きソースから遠くて良いねぇ。……あれ? そういえばアメリケーヌソースって、フランス料理のソースちゃうかった? まあ、美味しければいいやろう。まずは小さめの南部せんべいくらいの大きさのお好み焼きを焼く。その間に2枚のバーガーバンズも焼いて、内側にアメリケーヌソースを塗っておく。最後に、小さいお好み焼きとカリカリベーコン挟んだら、カリフォルニアお好み焼きバーガーの完成!

 何これ!? どっかの店で出しませんか?