人間の罪深さを表現するために描いた、犯罪者の“奇妙な明るさ”とは――。悪事を働きながらもまっすぐに生きる男たちが眩しい『上海灯蛾』上田早夕里インタビュー(後編)
上海で成功を夢見る吾郷次郎のもとを訪ねてきた謎の女性・原田ユキヱ。彼女は、極上の阿片を次郎に渡し、これを売りさばいてほしいと申し出る。次郎は裏社会を支配する組織「青幇」の一員・楊直と接触し、ともに阿片ビジネスに乗り出していくが……。1930年代の上海租界を舞台に、阿片と金に群がる男たちの生きざまを描いた『上海灯蛾』。この作品は、上田早夕里氏が綴ってきた「戦時上海・三部作」のラストを飾る一作だ。上海租界に惹かれる理由、『上海灯蛾』に込めた思いについて、上田氏に伺った。