因縁深き「信長」と「光秀」は、果たして誰!?

 

「織田信長がすごく好きなんですよね。信長が現代に転生して何か事件が起こるミステリーがあったら面白くないですか?」

 

とある日、編集担当の私と織守さんのそんな雑談から始まったのが本書でした。実におもしろいアイデアで、「いつかやりましょう!」とその時に話していたのですが、ついに単行本となりました!

 

本書のおもしろいポイントは3つあります。

 

1つ。斬新な転生モノであることです。『記憶屋』『花束は毒』など、ホラーやミステリーで話題作をたくさん出してきた織守さんが昨今人気の転生モノに挑むわけですから、面白くないはずはない。とはいえ、ただの転生モノではないのです。いわゆるライトノベルの異世界転生モノは前世の記憶があり、生まれ変わったら「最強」というようなパターンが多いですが、織守さんの発想は「逆」です。かつて名だたる戦国武将や姫君だった人物が、現代では普通に高校生や会社員として生活しています。そして、本能寺の変から440年、前世の旧交を温めるため、同窓会が開かれます。信長、豊臣秀吉、帰蝶、浅井長政など錚々たるメンバー8人が集結しました。

 

2つめは、主人公の設定が斬新なことです。転生モノですから主人公は前世の記憶があって、その経験を活かして大活躍──と思いきや、主人公の大学生・水野真広には前世の記憶がないんですよ! ところが、同窓会に参加する他のメンバーにはどうやら前世の記憶があるよう。自分の前世がわからないなか、他のメンバーとどう交流すればいいのか戸惑う真広。もし、自分が明智光秀だったら、信長を討った張本人ですから当然恨まれているし、何をされるかわからない。同じく、信長を裏切った浅井長政だったら……。圧倒的に不利な状況のなかで、同窓会をどうやって生き抜くのか、見物です。

 

そして最後は、本書の最重要テーマである「前世当て」。現世の職業や名前などはみんな公開していますが前世についてはトラブルを防ぐために伏せています。そんななかで、真広が出席者の前世をどうやって解明していくかをお楽しみください。特に注目なのは因縁深き、「信長」と「光秀」です。果たして誰なのでしょうか!?

 

 

【あらすじ】
本能寺の変から440年、前世の旧交を温めましょう── 大学生の水野真広に届いたのは、織田信長も参加する1泊の同窓会案内。冗談みたいな案内状だが、参加してみることに。銀行員から高校生まで8人の出席者は、信長、秀吉、帰蝶、光秀、滝川一益、森蘭丸など戦国武将らの生まれ変わり。真広以外は転生前の記憶があり、真広だけが戦乱の世で誰の恨みを買ったのかがわからない。巧妙に自分の正体を隠しつつ、相手の前世を推理して、不穏な同窓会を生き抜け!