子供たちを寝かしつけたあと夜食にこっそり食べる、かつお節クレープ。雨の日のドライブ、車の中で作る春野菜のペペロンチーノ。結婚をきっかけに母から教えてもらった炊き込みご飯……。
おだしたっぷりの心に沁みる料理たちを、作家・柊サナカが13の物語で紡いだ『あとはおいしいご飯があれば』。
実はこの小説、「だし」を使った様々な商品を生み出す「にんべん」とのコラボで生まれた。
にんべんには、お客様と一緒に、かつお節やだしをもっと楽しむ人の輪を広げていく「にんべんだしアンバサダー」という活動がある。にんべんが提案する本枯鰹節やだしを通して、暮らしを楽しみながら、にんべんのパートナーとしてかつお節やだしの魅力を発信していく人々の集まりだ。
そんなにんべんだしアンバサダーの杉本史織さんが本作の監修を務めている。
杉本さんはラジオパーソナリティとしても活躍されており、コミュニティラジオ局FMやまとの担当番組内コーナー『おだしdeごはん』でにんべんだしアンバサダーのレシピを紹介している。そのレシピを集結させたのが本作『あとはおいしいご飯があれば』である。
本作の発案者でもある杉本さんは書籍化への経緯をこう語る。
「企画のきっかけは、私のパソコンの中でどんどん増えていくアンバサダーさんの様々な想いと工夫が詰まったレシピをもっと多くの人に伝えたいと思ったことです。にんべんさんへ企画書を出したところ双葉社さんとのご縁をつくっていただき、打ち合わせを経て『レシピ小説』というスタイルに決まりました。意識したのは『忙しい方でも読める本』。本書はすべてショートストーリーで構成されているため、通勤電車で読んだり、家事の合間に読んだりしやすいです。しかもほっこりハッピーエンド。『この料理、今夜食べたいなぁ』と読んだ方に元気を与えられる本になっています。ストーリーとして読むことで五感が一層刺激されて全身で楽しめますし、レシピも添えてあるため、読んだあとすぐにその料理を作れます。今後は、第2弾、第3弾の刊行に繋がったらいいなと思っています。さらには映画化やドラマ化しないかな等、想像は尽きません。今後も一層みなさんにアンバサダーさんのレシピをお届けする方法を考えながら活動を続けていきたいです」

杉本さんが語る通り、1編は10ページ前後の短編なので、忙しい合間にもサクッと読みやすい。小説に登場する料理の数々は、何気ない日常の一コマできらりと光り、今すぐ食べたくなる……。そう思ったときに、レシピが本に収録されているというありがたい仕組み。疲れた日も、なんでもない日も、おだしのようにじわっと心に沁みてくるレシピと物語が融合した一冊だ。