高輪の酒問屋に奉公する十四歳の子守娘おたまが、往来で馬に蹴られた後、先の事を見透す不思議な力を授かった――。その噂を聞いた臨時廻り同心の白縫半兵衛は、盗賊の押し込みを予見し迷子の居所を言い当てるおたまに興味を抱く。そんな折り、奉公先の隠居・義兵衛が侍に斬られるところを見たと、おたまが北町奉行所に駆け込んできた。半兵衛は義兵衛の周辺を調べ始めるが……。「世の中には知らん顔をした方が良いこともあるさ」と嘯く半兵衛の人情裁きを描く、書き下ろし人気シリーズ第十四弾。