国許の徒目付・望月小五郎から、水戸城下の不穏な気配を報せる書状が江戸にもたらされた。藩主の斉脩は、事の真相を探るよう御刀番頭の黒木兵庫に水戸行きを命じる。十三歳になった斉脩の長子・京之介を秘かに同道させて江戸を出立するが、その途上、ある宿場で国許に向かう水戸藩士を捜す武家に遭遇する。兵庫たちを待ち伏せるその男の狙いは何なのか、そしてその正体とは!? 一見長閑に見える水戸城下に渦巻く陰謀に、閑職の御刀番頭が立ち向かう、書き下ろし人気シリーズ第三弾!