正月、芝浜の大空を悠々と泳ぐ角凧が一つ。元風烈廻り同心八尾半兵衛は、それを得意げに操る童子、丸子龍一郎と出会い心を通わせる。子の父龍之進は故あって藩を出奔し、細々と内職で凧を作っているという。そんな折、高利貸しの浪人どもが木刀で頭をかち割られ殺された。屍骸とともに残されていたのは、龍一郎の角凧だった――やがて半兵衛は丸子父子が背負う壮絶な宿命を知る。情に生き正義を成す! 涙のち心晴れ渡る傑作新装版、第十五弾。