目黒富士を巡る隣人との諍いで、近藤重蔵の息子である富蔵が人を殺めてしまったことに友として胸を痛める将太だが、自身も大きな岐路に立っていた。北方探索で体を傷めた松島小市郎からの意外な申し出。それを受けて間宮林蔵のもとで隠密の任に就くなら、理世と一緒になれるかもしれない。だがその場合は、事情を打ち明けることなく、皆と直ちに別れることになる──今宵七夕の織姫と彦星をともに見ながらぐっと言葉を吞む将太。待っていてくれ、理世。今はただ星に願いを。大好評シリーズ待望の最新刊!
義妹にちょっかいは無用にて 6
定価:748円(税込)
判型:文庫判
ISBN:978-4-575-67228-2
発売日:2025年1月15日
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また会える。
すまない理世。別れも告げずに。
皆々さま、いざ、さらば。
想い合う、血の繋がらぬ妹と一緒になる道が突如開けた。そのために間宮林蔵のもとで過酷な隠密働きをする覚悟を決めた将太。切なさ極まる急転直下の感動巻!
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文政九年(一八二六年)、江戸の町にて──今巻のハイライト(三話目まで)
第一話 悪役
杢之丞のことは、決して嫌いではなかった……。
「あなたは残酷な人だ」
そう言った杢之丞は一度も振り返らなかった。
第二話 決着
将太は杢之丞のもとを訪ねた。
「木刀を将太どのに。一度、本気で立ち合いをしたい」
「な、なぜ?」
「いつまでとぼけるつもりだ!」
第三話 惨劇
名所となった近藤家別邸の富士塚。境界線を巡る争い、ひどい裏切り。
──近藤重蔵の息子として果たすべき役割が目の前にあるのだ。
「父のため……」
つぶやいた唇で笑って、富蔵は刀を振り下ろした。
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