龍治に返り討ちにあい、川に飛び込んで逃げた吉三郎は生き延びていた。手負いの吉三郎だったが、しつこく復讐の機会を狙い、おえんの存在を知る。吉三郎は、自分と同じく白瀧家に恨みを持つと踏んでおえんに近づき、その長屋に転がり込んだ。打算から始まった同居は、しかし徐々に心の変化をもたらし、ある時おえんを襲った身の危険に対して吉三郎は……。若者が夢を持ち、恋に落ち、時に傷つきながら成長する。巻を追うごとに目が離せなくなる江戸の青春群像、せつなく沁みる書き下ろしシリーズ第五弾!