一言もなく行方をくらました人を想い続けるなど、馬鹿馬鹿しいことかもしれない――理世はそう思いながらも一生縁談を断り、大平家の一員として働いて生きていくと決心した。将太がいなくなってもずっと泣きはしなかった。一方、周りからすれば逐電した形の将太は、隠密の勤めで遠く八丈島に渡り、流人の近藤富蔵との再会を喜んだ。それから一年ぶりに江戸に戻り、姿を現した将太への人々の驚きは? 理世の反応は!? 到底叶わぬ恋に、本人たちすら思いもよらなかった納得の決着。笑顔こぼれる完結巻!