「どうぞ。うちはいつもこうして飲み物をサービスでお出ししているんです。僕の趣味でして」と陶器のカップを私の前に置いてくれた。
美味しそうなカフェオレに目尻が下がる。
「去年の夏に越して来たなら、暑かったでしょう」
そう言って、ホームズさんは対面に腰を下ろした。
「暑かったですけど、埼玉も変わらないです。ただ、冬の寒さには驚きました」
そっとカップを手に取って、ゆっくりと口に運ぶ。
三月とはいえ寒暖の差が激しい時期。
ホームズさんの淹れてくれたカフェオレは、少し冷えていた体に染み渡った。
「そら、そやろなぁ。冬の京都はあかんで。底冷えするから」
「せやねん、大阪からこっち来たら、寒くてビックリするで」と、美恵子さんに続いて上田さん。
どうやら上田さんは、大阪の方のようだ。
「下鴨さんは、北の方にありますから、またさらに寒いですからねぇ」
うんうん、と頷く、ホームズさん。
そういえばホームズさんは標準語。元々、どこの人なんだろう?
「ああ、僕はずっと京都ですよ。敬語なので分かりにくいと思いますが」
心の声に答えるように返されて、ブッとカフェオレを吹きそうになった。
ど、どこまで、お見通しなんだ、この人は!
「だから、ホームズ、それやめろて。葵ちゃん、ビックリするやろ、こいつ」
「は、はい。いつもこうなんですか?」
「いえ、いつもはもっと口にしないように気を付けてます。今日はどうしてでしょうかね?」なんて小首を傾げる。
口にしないように気を付けてるってことは、やはりいつもこうして敏感に分かる人なんだ。鑑定できる人って、こんなものなのかな?
「……葵さん、品物を拝見してもよろしいですか?」
気を取り直したように手を出す彼に、「あ、はい」と頷いて、紙袋を手渡した。
「なんやなんや」「二つ入っとるな」と目を輝かせて身を乗り出す上田さんと美恵子さん。
なんだか、居たたまれない感じだ。
「掛け軸ですね」
白い手袋をして丁寧に掛け軸を手に取る。そっと開いて、「これは……」と目を開いた。
掛け軸の中には、力強い達磨の絵。
墨で描かれたようなラインに、ギョロリとした目がとても印象的だ。
「……白隠慧鶴の禅画。驚きましたね、本物です」
落ち着いた口調ながらも、輝いている目から彼が興奮していることが伝わってきた。
「白隠慧鶴は知らんけど、この達磨の絵はどこかで見たことあるわ。へぇ、本物なんか」
嬉々として尋ねる美恵子さんに、彼はコクリと頷いた。
「白隠慧鶴は、臨済宗中興の祖と称される江戸中期の禅僧です」
「臨済宗中興……って?」
「臨済宗とは禅の教えのひとつでして、『中興』というのは『一度衰えていたり、途絶えたものを復興させる』という意味なんです。つまり禅の教えを再び復興させた多大な功績者ということです」
「あ、なるほど」
「白隠は、禅の教えをそれは分かりやすく説き、中興の祖と呼ばれるようになりました。『駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠』と、富士山と並び称されたほどの高僧なんです」
そう告げたあと、ホームズさんは掛け軸に視線を落とした。
「いや、驚きました。この達磨図は状態も良いし、素晴らしいですね」
「なぁ、ホームズ、これ、なんぼになる?」
ヒョイと顔を出して露骨に尋ねる上田さんに、彼は「……そうですね」と目を細めた。
「二五〇万といったところでしょうか」
「に、にひゃく?」声が裏返ってしまった。
これにそんな価値が? 私は数万にでもなってくれたらと思っていたのに。
予想もしない額に、バクバクと心臓が鳴る。
私はとんでもないものを気軽に紙袋に入れて、持って来てしまったんだ。
「もうひとつの方も拝見しますね」
私の動揺を無視するように、ホームズさんは楽しげに紙袋の中に手を伸ばした。
「あ、それも、同じ人の絵だと思います。達磨ではないんですが」
「それは楽しみです」と彼は掛け軸を広げるなり、ピタリと動きを止めた。
「なんや、今度のは赤ん坊の絵か。可愛らしいやん」
「へぇ、白隠もこんな絵を描いたんやな」
楽しげにそう話す二人とは対照的に、ホームズさんは何も言わずに目を見開いていた。
心なしか、顔が青ざめて見える。
「どうした、ホームズ」
「あ、いえ。白隠の……幼子を描いた絵は見たことがありますが、この赤子の絵は、僕は初めて見ました」
ホームズさんの掛け軸を持つ手が、小刻みに震えていた。
「なんや、すごいものやったん?」
「……そうですね。なんていうか、僕には、値段がつけられません」
静かに漏らしたホームズさんに、「えっ?」と戸惑いの声が出た。
値段がつけられない?
ポカンとする私に、ホームズさんはそっと顔を上げた。
「……葵さん、この掛け軸はどなたのものですか?」
「それは……死んだ祖父のものです。古美術がとても好きで、あれこれと集めてまして」
「そうですか。本当につかぬことをお伺いしてしまいますが、葵さんがお祖父さまの遺品を持ち出してしまうくらい、お金を必要としているわけはなんですか?」
しっかりと視線を合わせて優しく尋ねられて、私は直視できずに目を伏せた。
「……新幹線代です。なんとしても埼玉に帰りたかったんです」
「そやなぁ、もうすぐ春休みやし、友達に会いたいわなぁ。でも、お母さんにお願いしてみたらええんちゃう?」なんて言ってくる美恵子さん。
するとホームズさんは『今は黙っていて』という感じで、そっと口の前に人差し指を立てた。その姿に美恵子さんは、慌てて口を閉ざして、肩をすくめる。
「何か、あったのですか?」
再び優しく問われて、私は俯いて下唇を噛んだ。
少しの間のあと、
「それは……」
口を開いたと同時に、急にボロボロと涙が零れた。
「せ、先月、付き合っている彼に、もう別れようって言われたんです」
吐き出すように告げた私に、美恵子さんと上田さんは神妙な顔を見せた。
「……わ、私、その時は『仕方ないな』って思ったんです。遠距離でなかなか会えないし。気持ちが離れても仕方ないなって……すごくつらくて悲しかったけど……」
中学の頃から付き合っていた彼。
同じ高校にも進学できて、ずっと一緒だと信じていた。
だけど、京都に移り住むことになって……。
『今の時代、ネットでもなんでもつながってるから、遠距離なんて問題ねぇよ。俺、絶対京都の大学に行くから』
離れる時は、そう言ってくれた。
それなのに、次第に途切れがちになっていった連絡。
『……ごめん、もう無理なんだ』
やがて、告げられた別れ。
予感はしていたことだ。つらかったけど、その時は、『仕方ない』って思った……。
私の家の都合で離れることになってしまって、申し訳なくも思っていたから。
それなのに……。
「だけど、彼はすぐに他の女の子と付き合いはじめたみたいなんです。その相手が……私の親友で。それを先日、知ってしまって」
そう、あの子は親友だった……親友だと思っていた。
高校に入学して、すぐに仲良くなった子。いつも一緒で、最高の友達だと思っていた。
『葵と彼氏って、すごくお似合いだよね。浮気しないように見張ってるから、安心して京都に行きなよ』なんて言ってくれてたのに……。
私がいなくなるなり、彼に近付いたんだろうか?
私が引っ越すことになって、喜んでいたんだろうか?
彼と親友が付き合うことになるなんて。悔しくて、苦しくて、やるせなくて。
――どうしていいのか分からなかった。
今すぐ埼玉に帰りたかった。
「そうですか、それで、飛んで帰りたくなったと」
頷く彼に、美恵子さんが「まあまあ」と気の毒そうに目を細めた。
「だけどあんた、帰ってどうするん?」
そう問われて、言葉が詰まる。
そう、なんだ。帰ったところで、どうするの?
それは私も何度も思った。
「……た、確かめたいんです。そして言いたいことがいっぱいあるんです! ひどいって、許せないって、二人に言いたいんです! だって、本当にひどい! ひどすぎる!」
今まで我慢してきたものが、堰を切ったように溢れ出した。
家族に心配をかけたくないと、家では泣けなかったから。
学校でも、まだ、なんでも話せる友達がいなかったから。
……一人で堪えていたから。
本当はずっと、声を上げて泣きたかったんだ。
テーブルに突っ伏して、ウワーッと声を上げて涙を流していると、大きな手がそっと頭を撫でてくれた。
「……葵さん。葵さんが持って来てくれた、この赤子の絵を見てください」
その言葉に、私は嗚咽を漏らしながらも、そっと顔を上げた。
柔らかな曲線で描かれた赤ちゃんの絵。
眠っているのだろうけど、笑っているようにも見える。
「白隠のことは、ご存知でしたか?」
優しく尋ねる彼に、私はそっと首を振った。
この絵は『なんとなく良さそう』と持って来たもので、作者のことなんて何も知らない。
「先ほども言いましたが、白隠は富士山と並び称されるほどの高僧でした。ですが、その名誉が地に落ちたこともあったんです」
「……えっ?」
「白隠が沼津の松蔭寺に住んでいたころ、ある檀家の娘が妊娠するという事件が起きました。父から誰の子かと厳しく問いつめられ答えに困った娘は、日頃、父が白隠を崇拝していることを思い出して、『白隠さんの子どもです』と嘘を言ってしまったんです。白隠の名を出せば、収まると思ったんでしょう。
ですが娘の父は激怒しましてね、生まれた赤ちゃんを抱いて白隠の元を訪れて、『うちの娘を孕ませるとは、お前はとんでもない生臭坊主だ。さあ、この子を引き取れ』と白隠にその赤子を押し付けたんです」
「え……で、白隠さんは?」
「覚えのない濡れ衣に対して、白隠は一言も弁解せずに、その赤子を引き取りました。
彼はその後、人々に『生臭坊主』と罵られながらも、赤ん坊を育てるために必死にもらい乳に歩いて回ったそうです。これに耐えられなくなったのが、赤子を産んだ娘でした。
罪の意識にさいなまれ、父親に泣きながら本当のことを打ち明けました。娘に打ち明けられ、事実に衝撃を受けた父は、すぐに白隠の元へ行き平謝りしたそうです。
それに対して白隠は、『ああ、そうか。この子にも父があったか』とだけ言って、赤子を返し、娘や父を非難する言葉は一言もなかったそうです。
この件に関して、白隠は本当はどんな気持ちだったと思いますか?」
そう問われて、何も言うことができない。
裏切られて、濡れ衣を着せられて、罵られて、それでも一言も弁解せずに懸命に赤ちゃんを育てて。間違いだったと謝りに来た父に、赤ちゃんを返した白隠。
どんな気持ちだったか、なんて……。
本当は『何を勝手なことばかり』と怒っていたかもしれない。
「それは、この絵にあらわれているのではないでしょうか?」
ホームズさんは優しい瞳で、赤子の絵を見詰めた。
幸せそうに眠る、赤ちゃんの絵。そこからは『愛しさ』しか感じなくて……。
「……ッ」
また、大粒の涙が零れた。
白隠は、どんな仕打ちに遭っても、それを受け入れて愛して包んだのだろう。
押し付けるように与えられても、奪われても。
憎んで、恨んで、許せない、ひどいと、のたまっている自分が恥ずかしい。
こんな素晴らしい祖父の宝物を売って、恨み言を吐きに行こうとしていた自分が恥ずかしい。
……だけど、それでも、この気持ちはどうしても苦しいんだ。
どうしようもなく、つらいんだ。
涙が止まらない。
「葵さん、もし良かったら、ここで働きませんか?」
ポツリと落とされた言葉に、「えっ?」と戸惑いながら顔を上げた。
「あなたは、なかなか良い目を持っていますし。家族の宝物をコッソリ売ってお金にするのではなくて、ちゃんと働いてご自分で交通費を稼いではいかがでしょうか」
「で、でも」
「旅費が貯まる頃になっても、今のように、どうしても埼玉に帰りたかったら、行って、スッキリするのもいいと思いますよ」
ニコリと微笑むホームズさんの顔を見ていると、何か温かいものが胸にこみ上げる。
――そうだ。
今すぐ帰って、『確かめたい、文句を言いたい』と思っていた。
だからバイトをしている暇なんてないって、今すぐお金が欲しいと思っていた。
そんな衝動にかられた行動で、いろんなことを見落としてしまうこともある。
ある時、何か用意されたように道ができることがあるというのを聞いたことがある。
今、それを感じている。
私は、ここで、この不思議な彼の元で、何かを学びたい。
「はい。……どうかよろしくお願いいたします」
ペコリと頭を下げた私に、上田さんと美恵子さんが「ええやん」と手を叩き、
「良かった、実はお手伝いしてくれる人を探していたんです」
ホームズさんが、優しい笑みを浮かべた。
「――今日は本当にありがとうございました。これからどうか、よろしくお願いします」
改めて白隠の掛け軸を紙袋にいれて、頭を下げた私に、
「こちらこそ、これからよろしくお願いします」
ホームズさんも頭を下げた。
「それでは」と私は店を出ようとして、足を止めて振り返った。
「あの、どうして、私が『良い目』を持っているって言ってくれたんですか? それに、どうして、住んでる場所まで分かったんですか?」
気になっていたことを尋ねると、彼はクスリと笑った。
「葵さんがさっき足を止めて見入っていた茶碗。あれは、『志野の茶碗』なんです。僕の祖父の宝のひとつなんですが」
「シノの茶碗?」
「桃山時代の国宝でしてね、失くしてしまったら、もう二度と作られない名品と言われているんですよ。値段にすると、六千万といったところでしょうか」
「ろ、ろくせんまん? そんなすごいものをあんなところに置いといて大丈夫なんですか?」
「これはここだけの話に」
ホームズさんは口元に人差し指を立てて、イタズラに微笑んだ。
「だけど私、さっきの富士山の絵に感動しちゃったんですよ? あれ、ニセモノだったんですよね?」
「ああ、あれは『工芸画』という複製でしてね、大観自身、『自分の作品をより多くの人に観てもらいたい』と工芸画の普及にとても尽力していて、使っていた墨も渡していたくらいなんです。
本人も認めていたくらいのものですから、本物とはいかなくても、なかなかの迫力を見せてくれるのも工芸画なんですよ。あれに感動できるのも、また良い目を持っていると思います」
「そ、そうなんですね。で、住んでるところが分かったのはどうしてですか?」
「ああ、それは……そのうち、すぐ分かると思いますよ」
ホームズさんはそう言って楽しげにクスクスと笑った。
――そのうち、分かる?
小首を傾げながら、改めてお礼を言って、店を出た。
もう薄暗くなった空。三条商店街のアーケードは明るくライトアップされて、昼間とはまた違った賑やかな様子を見せていた。
さて、帰ろう……。
そして、これから、ここでのバイトをがんばろう。
今日を境に、私の運命が変わるかもしれない。
そんな不思議な予感がした、まだ肌寒い春の出来事だった。
第一章 『願わくは桜の下にて』
1
『葵さん、もし良かったら、ここで働きませんか?』
京都寺町三条にある骨董品店『蔵』にいた不思議な青年。
家頭清貴さん、通称『ホームズ』さんにバイトに誘われてから、三週間が経った。
「それじゃあ、いってきまーす」
四月上旬の土曜日。
念入りに髪を整え終えた私は、ドタバタと階段を駆け下りて玄関へと向かった。
「こら、葵、階段を駆け下りない!」
リビングから顔を出して、声を上げる母に、「はーい」と簡単な返事をして、スニーカーに足を滑らせる。
「今日はバイトなの?」
「うん」
「それにしては、出るの早くない?」
時計を確認しながら尋ねる母に、
「今日はちょっと自転車で遠回りしようと思って。それじゃあ、いってきます」
玄関を飛び出して、そのまま家の前に置いてある自転車に跨った。
漕ぎ出した瞬間、ふわりと風が頬を撫でる。
新緑の香りを含んだ、暖かい春の風だ。
(ああ、気持ちいい)
夏は殺人的に暑いし、今のこの季節が本当に最高だと思う。
自転車を軽快に走らせて、下鴨本通という縦の通りを南へと下っていく。
今出川通という横道を越えると、『下鴨本通』は『河原町通』という名に変わる。
バイト先である寺町三条に行くには、この河原町通をただ南下していくだけ。
だからいつもは、このままひたすら真っ直ぐに走っているんだけど、今日は今出川通を左に曲がり、鴨川へと向かった。
この今出川通は、高野川と賀茂川という二つの川がひとつになって『鴨川』となる、合流部分を臨むことができる。
賀茂川は高野川と合流してから、『鴨川』と漢字が変わるらしい。
なんでも、この合流地点も『パワースポット』だとか。
わざわざバイトに行くのに、少し遠回りしたのはパワースポットと呼ばれる川の合流を見たかったから……ではなくて。目的は、川辺にズラリと並ぶ、満開の桜。
「わあ、やっぱり綺麗!」
自転車を走らせながら、思わず声が出た。
京都は今まさに、桜の季節を迎えていた。眩しい日差しの中、キラキラと光る鴨川に、たくさんの花びらを散らす桜並木。まさに絶景だ。
きっと、この景色を見るために、遠くから訪れる人も多いのだろう。自転車でフラリと見に来ることができる私は、贅沢者なのかもしれない。
そのまま河川敷に下りて、南へ向かって走る。鴨川を横目に桜の下、ペダルを漕ぐ。
本当に最高だ。川岸でイチャつくカップルの姿さえなければ、もっと最高なのに。
仲良さそうなカップルの姿が目に入るなり、ふと、別れた彼のことを思い出してしまう。
同時に、ズキンと胸が痛んだ。
彼が親友と寄り添う姿を勝手に想像して、ズキズキと胸が痛む。
こうなると、ダメだ。彼に告げられた別れがつらくて、友達と彼が付き合っていることがつらくて、『どうしてなんだろう?』って、やりきれない思いがグルグルとループする。
だけど、二人が付き合っているというのは、人づてに聞いた話だ。
本当はデマなのかもしれない。何かの間違いなのかもしれない。今すぐ埼玉に行って、確かめたい。
(ダメダメ。今考えても仕方ない)
小さくかぶりを振って、しっかりと顔を上げた。
優しい風に舞う桜の花びら。
その美しさに、切り刻まれたように痛む心が、ほんの少し癒される。
とりあえず今は、バイト代を貯めることだけを考えよう。
その後のことは、その時に考えようって決めたんだ。
しっかりとグリップを握って、ペダルを漕ぐ。
そうして約十五分も走っただろうか?
『御池通』まで来たことを確認して、上の通りへと出た。少し西に移動すると、京都市役所が見えてきた。市役所とは思えない石造りの洋風建築。昭和初期に建てられたそうだけど、明治大正ロマンを思わせるレトロさと重厚さがとても素敵だ。
(はじめて、この市役所を見た時はビックリしたなぁ。さすが京都、いろいろとすごい)
そんなことを思いながら、御池の駐輪場に自転車を停めて、そのまま三条商店街のアーケードへと向かった。
午前十時五十分。バイトは十一時からの約束。
どうやら遅刻せずに済みそうだ。
「京都寺町三条のホームズ」は全4回で連日公開予定