父は姿を消したのよ。私が九歳の夏に。それ以上のことを言わない、誰にも――。1964年オリンピック決定に沸く東京で、競技場近くに住む一人の男が失踪した。美しく聡明な娘は自分の居場所と夢を守るため、偶然と幸運と犠牲を味方につけ生き抜いてゆくことを誓う。時代の空気感を濃密に反映させて描く、精緻にして全く予測不能な長編ミステリー。
定価:836円(税込)
判型:文庫判
ISBN:978-4-575-52582-3
発売日:2022年7月14日
1964年オリンピック決定に沸く東京。
その陰で、忽然と姿を消した一人の男。
残された聡明な娘は、「秘密」を胸に生き抜いてゆく。
産経新聞・毎日新聞・週刊文春・週刊新潮・サンデー毎日他
各紙誌注目のミステリー、遂に文庫化!
各編で描かれる涼子の姿は、最初はほんの断片にしかすぎないものだ。
(中略)彼女の境遇が少しずつ少しずつ明らかになっていくにつれ、
本来収まるべき場所にカチリと嵌まり、やがて徐々に大きな絵柄が浮き上がってくる。
と同時に、それまで無関係に見えていたエピソードが、
こんなところで繋がってくるのかと驚き、呆然とすることもしばしばだった。
森谷明子の底力を見せつける容易ならざる快作。
関口苑生氏(解説より)