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 担任の先生が入ってきた。わたしと同じくらい個性のない名前の先生は、印象もやっぱり平凡だった。担任の指示でわたしたちは廊下に出て、背の順に整列した。出席番号を決めるためだ。それぞれの教室から全員がぞろぞろ溢れ出てきて、廊下はみんなの騒ぐ声でいっぱいになった。廊下にはもうホコリの臭いの代わりに、十五歳の女の子たちの甘くて瑞々しいローションの香りが漂っている。

 わたしはソラと近くに座るために、膝をかなり曲げなくちゃいけなかった。でも出席番号順の席は担任が生徒の名前を覚えるまでの期間だけ有効で、そのあとの席順は完全に担任の権限になる。担任が権限を濫用して、成績順に座らせることがないよう願うしかない。

 ソラは三十一番、わたしは三十二番になった。二年六組三十二番。縮めて「二六三二」が、一年間わたしを表す番号だ。わたしたちは教室に戻り、番号順に着席した。もちろん他の子たちもソラとわたしみたいに背よりも友情にポイントをおいたので、席順はさっきとたいして変わらなかった。

 先生が番号と名前を、確認しながら書類に書き込み始めた。こんなふうに出席簿が作られるのだ。みんな自分の番号が呼ばれた時だけ前を見て名前を言うけど、すぐにまた騒ぎ出す。おしゃべりに熱中しすぎて、自分の番号が何回呼ばれても気が付かない子もいた。番号がうしろの方のわたしとソラは、安心しておしゃべりできた。冬休みもしょっちゅうお互いの家を行き来して、離れている時はメッセンジャーをつなぎっぱなしにして友情を温めていたというのに、それでも話は尽きなかった。

「三十二番!」

 ソラが名前を言ったあと、わたしの番が来た。初めて担任と目を合わせる瞬間だから、めいっぱい礼儀正しく素直そうな表情で名前を伝えた。それなのに先生は、わたしの顔の代わりに書類に目を向けている。

「イ・ユジンは、さっきもいたけど……」

 珍しいことじゃない。学校という社会にデビューして以来、わたしは幾人ものユジンに出会った。うちの両親は、グローバルな時代だから娘には外国に出てもわかりやすい名前をつけようと決心したという。お母さんとお父さんのその考えに、まったく異論はない。問題は、うちの親だけがそう考えたわけではなくて、世間にはユジンが溢れているということだ。

 わたしは、名付けた両親の意図に従って国際的に羽ばたこうだなんて思ってはいない。わたしのドンヒョク様がいるこの国から離れて暮らすことはできないから、純粋に国内でしか使わないことが明らかで、その点から見るとこの名前は失敗作だ。今、その結果が目の前に表れている。

「イ・ユジン!」

 先生が首をかしげながら名前を呼んだ。同時に返事をした最前列の子が振り返って、わたしを見た。いくらユジンという名前がよくあるといっても、姓まで同じ子と同じクラスになったことはなかった。ところが、その子の大きくて丸い目と目が合った瞬間、すごく見覚えのある感じがした。絶対、会ったことがある。どこだったかな。ああ、どこだ? 頭の中で、電球が光った。そうだ、イ・ユジンがもう一人いたじゃない! 同じ幼稚園に通っていた子だ。大きくてまん丸の目に、身体は小さくて人形みたいだった子。その子は小さいユジン、わたしは大きいユジンと呼ばれていた。もう一人のイ・ユジンは、あの小さいユジンに違いなかった。なのに、その子は興味なさそうにそのまま前を向いてしまった。

 

ユジンとユジン』は全3回で連日公開予定