近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に呑み込まれ、もう現実には戻れない――。最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!
残月記
定価:1,815円(税込)
判型:四六判
ISBN:978-4-575-24464-9
発売日:2021年11月18日
拡大する
ダークファンタジー×愛×ディストピア
息を呑む感動の超弩級エンターテインメント!
各氏、激賞!
なんと豊かな物語性だろう。この作品集は娯楽に徹しながら、あきらめとその先にあるものまで見せてくれる。
東山彰良氏
打ちのめされた。あまりに豊饒な詩と魔術。生と死が尾を喰らいあう文章世界。物語の祖(おや)である月――「竹取物語」から千年を超えて、今、破格の裔(すえ)が私たちの夜空に昇った。古今を貫いて比類がない、これから千年輝きつづける現代小説の最高峰。
真藤順丈氏
“月昂(げっこう)”に冒された未来を描く表題作が圧倒的。かくも苛烈で静かな恋愛小説がかつてあっただろうか。小田雅久仁の底知れぬ才能に戦(おのの)く。
大森望氏
この3つの物語が刻印されてしまったら、もう以前と同じように月を見上げることはできない。決して。
豊崎由美氏
拡大する
『本にだって雄と雌があります』(第3回Twitter文学賞国内編第1位)から、9年。
最も刊行が待たれた作家の最新作、遂に登場!
「俺は突然何もかもを失って、一人になった!」
不遇な半生を送ってきた男がようやく手にした、家族というささやかな幸福。だが赤い満月のかかったある夜、男は突如として現実からはじき出される。
「そして月がふりかえる」
「夢を見ながら泣きじゃくっていたのだ」
早逝した叔母の形見である、月の風景が表面に浮かぶ石。生前、叔母は言った。石を枕の下に入れて眠ると月に行ける。でも、ものすごく「悪い夢」を見る、と。
「月景石」
「満月はいつだって俺たちに言う。命を懸けろと」
近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂(げっこう)に冒された若者。カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、抗い続けてゆく。愛する女のために。
「残月記」
関連記事
試し読み
関連作品