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 翌朝、といっても俺が起きた時間を朝としているので実際は既に一一時なわけだが、天道から無事LINEが届いた。

〈捕まえられた!ソータが言ってた通りにやったら、一発だった!〉

 それは良かった。

 ホッとしながらも、ガッツポーズをするくらいのテンションではないのは、提案した時点で、確信があったからだ。真相が俺の推理通りなら、この手がシンプルながらも一番、効くだろうって。

 今日の朝〈デラックス・ワン橋本〉に集合した打ち子たちに対して、こう言うように天道に伝えたのだ。

「今日は別の店で打つので、これからまた移動する」

 

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 俺は着替えて〈デラックス・ワン橋本〉へ向かった。ピッチリしたスーツ姿は、やっぱりパチ屋の中でも目立つ。〈魔少年女〉の島に着いた途端に天道を見つけられた。

「しっかり打ってんね」

「一人、欠けちゃったからな」

 天道はそう返してきたが、ファミレスで会おうと言ってきた天道に〈親には今日も打ち子五人でやるって言ってんだから、お前はそこ埋めなきゃダメだろ〉と注意したのは俺の方である。恐らく、俺が言わなければ、天道は普通に〈デラックス・ワン橋本〉から離れていただろう。

 天道の隣に腰を下ろして、サンドに札を挿し入れた。遊技を始める。天道がやたらジロジロ見てくるので「なんだよ」と睨む。

「いやあ」

 天道が左手をレバーから離し、頬を掻いた。

「正直、俺、まだよく分かってないんだよね」

「何が。捕まえられたんだろ、当たり隠していた打ち子」

「そう。俺があれ言ったら、明らか慌てだしたから、問い詰めたら、すぐゲロった。でもさあ」

 天道はたん、たん、たんとリールを止めた。明らかに適当。何も揃っていない。

「ソータは、なんで分かったわけ。子の中に、他の親と打ち子の掛け持ちしている奴がいるって」

 

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 最初に左右。それから後ろを確認した。近い席に他の客はいないし、後ろに店員も立っていない。うん、まあ、普通の声量なら大丈夫だろう。でも、今はスロット回しているからね。ちゃんと狙って止める。よし、チェリー来た。チャンスになるか。ならない。しゃあない。天道の方を見てやる。

「見合わねえなって思ったんだよ」

 レバーを叩く。

「何が」

「手間に。単に、当たりを隠しながら打ち子をやり続けるっていうのが」

 ディスプレイを睨みつける。今日、座った台で流れているのはヒトミ篇だった。第二シーズンの最後の主人公である。折角だからこいつに変身させて、天徒倒すところまでいってほしいけど、どうかな。

「そもそもの話、パチスロって結局、運じゃん」

「そうだな」

 天道の手元でリールが止まる。またバラバラだ。

「当たりが出るかなんて、正直、誰も分からない。いつ出るか分からない当たりを出たら隠してやろうとあてにして打ち子を続けているのは妙だと思った」

 偶々、一回出た大当たりを出来心で隠しちゃったというのなら理解はできるが、今回は二週間ほど継続してやっている可能性が高いのだ。

「大体、つきぬけて万枚いっているならともかく、普通のレベルの当たりなら、四万円とか、そのくらいだろ」

 俺が最初、天道とアリカが用意してくれた台で当てた時のように。

「マジであてにならなくないか。それなら、軍資金でもらっている五万円をくすねた方がよっぽど、割に合う。そう考えて気づいた。実際、それやってんじゃねえのって」

 天道がレバーに指を当てている。とん、とん、と動かない程度に押しているようだ。

「でも、誰もサボらずに打っていたろ。一日中打つにはどのみち、五万は要る。抜いた軍資金でパチスロ打ったってことか」

「そんで適度に当たりを報告」

「本末転倒すぎないか」

 天道の言う通りだ。俺はここで話題を切り替える。

「昨日、打ち子たちを観察していて、もう一つ気になったことがあったんだよ」

「たくさん気にしているな」

「そういうサガなんで」

 一つ気になって、変だと気づくと、どんどん別のことにも、あれはおかしかったぞ、と思い至っていく。フィーバータイムだ。

「みんな、当たっても、嬉しくなさそうだったんだ」

 と、言いながら止めたらスイカが揃った。メダル三枚増える。口の端っこが、ちょいと上がる。

「それは、打ち子だからだろ。多少の歩合制度はあるけど、当たっても自分の当たりじゃないからな」

「そこだよ」

 レバーを叩く。

「俺らが捜しているのは打ち子のフリして金を抜こうと思っている奴だろ。そいつにとっちゃ、当たりは自分の当たりだ。なんで喜ばねえんだよ」

 言っている最中に「うおっ、チェリー」と声が出た。スイカからのこれは熱いぞ。リールを止めると画面にヨルさんがカットイン。〈ヨル・チャンス〉だ。ケツを動かしたところに天道の冷たい視線を感じる。

「ほら、こんな風に、テンション上がるもんだろ。自分の懐に入るかもって考えたらさ」

 言いながらも指に力が入った。やべ、ズレた。落ち着け。おしっ、いった。でも、ボーナスには入らない。確率なので、こういう時もある。気を取り直して。

「それで、思った。そいつはあくまで打ち子はやり続けているんじゃねえかって」

 天道は「どういう」とまず言って、少し間を空けてから「そういうことか」と呟いた。

「それで他の親との掛け持ちと分かったのか」

「そう。全てが説明つく」

 二人の親から同時に打ち子を引き受けていれば、毎日、片方の親からもらっている軍資金を丸ごと懐に入れることができる。どちらの親が監視に来ても、ネコババしなかった方の軍資金でちゃんと一日中打っているのだから、バレようがない。結局は打ち子なのだから、当たりが出ようと出まいとそこはどうでもいい。なのでチャンスだろうがATだろうがテンションはそんなに上がらない。当たったら片方の親に当たりを渡し、もう片方の親にはプラマイゼロと申告。ハマって収支マイナスになった日はどちらにもそうだったと素直に伝えればいい。

「で、多分、日によって当たり分を渡した親を変えていたんだと思ってる」

「それは聞いたわ。確かに一回、ツキヌケまでいった時も俺にちゃんと出メダル分を渡してきてた」

 そんなだから期間通してデータを見た時には、なんとなく不調に見える程度で済んだ。バレないように毎日、それなりの金を確実にもらう手口としては結構、完成されている。

「これは勿論、二人の親がここで打てと指示した店と台が一致していたからこそできる手口だ」

「だから、今日は別の店と俺に言われて大慌てした、と」

「そういうこと」

「なーるほどなあ」

 天道が、身体を台から離すように、背もたれへグっと体重をかける。一瞬、肩が上がって、その後に深く落ちる。全てに納得、もう終わり、みたいな動き。

 俺は、レバーを打って、再度、リールを回した。

 

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 天道は案外と、掛け持ち犯から、他にもあれこれ聞き出していた。朝、天道班の集合場所に行く前に、もう片方の親のチームのところに顔を出す。夜は逆で、天道班のところで金の精算をしてから、そちらへ向かう。

「あっちは反省会とかしていたらしい」

「部活みてえだな」

 まあ、部活動ってよりも、仕事の感覚なんだろうな。振り返り。PDCAサイクル。パチスロで回すのがそれで良いのか。

 しかし、中々ハードなスケジュールだ。気づかれねえのかな。気づかれないか。軍団行為はバッド・マナー。それぞれ集合場所は人目につかないところだろうし、日中は日中で、親も、同じチームの打ち子も、あからさまにはツルみに来ない。

 でも。

「いやー、ほんと、助かったよ。ソータ。サンキュな」

 天道の言葉に俺は「ああ」と返す。天道はそこに「いい度胸してるよな、祐樹の野郎」どっちの祐樹だ。天道は完全に感想戦のテンションである。俺は首を左右にそれぞれ一度ずつ動かした。

 やっぱ、止めてやった方が良いか。

「いい度胸してるのはお前もだろ、天道」

 台を見つめたまま言ったが、天道がこちらを見たのは分かった。

「火遊びは、そろそろやめた方が良いと思うぜ」

 正直、とぼけるんだろうなと思っていた。何のこと、とか、そういう返しが来るだろって。しかし天道は。

「そこまで、見抜いていたのか」

 開き直りでも、ごまかしでもない、ストレートな感心と聞こえた。だから俺も素直に進めてやる。

「そりゃ、金抜いている奴を特定しなきゃって思うよな。ここでの仕事は、天道、お前の持ち出しなんだから」

 今現在の〈デラックス・ワン橋本〉での軍団仕事は〈ヘブンロード機構〉ではないのだ。天道の上に親はいない。だからさっきも、親に子は五人で報告している以上、誰かが欠けた子の代理をしなければならないという当然の発想が俺に言われるまでなかったのだ。

 俺はレバーを叩いた。

 おっ、ボーナス来た。

 

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   AT:4

 

〈魔少年女〉履修者には社会常識だろと言われそうなことを説明しておくと、ヒトミはシーズン一から脇役として登場していたキャラクターである。未来科学省に勤めている役員にして、科学者で、魔法の概念すらも否定していた。半分くらいヘイト買いのための敵役。そんなヒトミがいよいよ、魔法を認めざるを得なくなり、来襲してくる天徒に立ち向かうために魔力を手にする覚悟を決める。ところの、アニメーションが俺の目の前で流れている。ヒトミの目の前で、未来科学省の壁がガラガラと崩れていく。これはパチスロなので俺がボタンを押して止めないと、延々と壁が崩れるアニメーションが流れ続けることになる。

「まず思ったのは」

 左列を止める。成功。一番上に赤〈7〉を捕まえられた。

「なんで店を変えないんだってことだった」

「とっとと店を変えていれば、すぐに祐樹が背信行為しているって分かったって意味か。掛け持ちをしていることが分かったのはソータに言われてなんだから仕方ないだろ」

 だから、どの祐樹だよ。別に苗字言われても顔でてこねえけどさ。

「結果論を言ってるわけじゃない。アプリの問題だよ。遊技記録を見られる店に移れば、一発で誰が変な動きをしているのか突き止められんだろ。なんで不正のやりやすい〈デラックス・ワン橋本〉にとどまってんだよ」

 天道は「ああ」と言った。完全に納得の息遣い。したくせに、往生際悪く。

「いや、俺から親に店変えろと提言するわけにはいかないだろ。打ち子が金抜いているからなんて言ったら、一発で信用がパーだ」

「お前なら口八丁手八丁でそのあたりは適当に理由つけて誤魔化せるだろ」

「人をなんだと思ってんだ」

「犯罪者思考の将来の詐欺師有望株」

「泣くぞ」

 泣いてろ、と思いながら「お前から提言なんてしなくても、本来、親の方が変えるはずなんだよ」と俺は続ける。

「二週間、下ブレしている状況なんだろ。パチスロを知り尽くしている親なら、PDCAサイクルを回して、対策を練り始めるよ。この店の設定のやり方が変わってしまったらしい、と他の店に自然に移る」

 中央列のボタンをタッチ。ど真ん中に赤〈7〉で止まった。これで、あとはビッグになるか、エピソードになるか。

「それなのに〈デラックス・ワン橋本〉にとどまっている。その時点でおかしかった。他の店に移れない理由でもあるみたいだ。それで、思い出したんだ」

「何を」

「打ち子をやりたがる奴がいる理由」

 天道はぴんと来ていないらしいので「言ってたろ。どの店のどの台が当たるかの知識を得るために打ち子をやっている奴がいるって」と思い出させてやる。そのまま続ける。

「天道、お前もそれをやってたんだろ。ただし、お前は自分が打つためではなく、親をやるために、打ち子の親から知識を盗んだ」

 よくよく考えると〈ヘブンロード機構〉がちょっと変なのだ。確かに、このシステムは確実に金を稼げる。だが、これ、天道らしいだろうか。いや、発想自体は、らしい。構造を分析して、それを利用しとんでもないことを考える。でもさ、結局、親の方が儲かるからこそ成立する話なわけじゃん。

 あの時覚えた違和感通りだ。結局。天道なら絶対に、どかんと稼げる親のほうを、やりたがる。

「盗んだなんて、犯罪みたいな言い方するね」

 天道は静かに言うと、笑った。やっぱりろくでもないし、怖いよな、こいつ。俺は「みたいなで済めばいいが」と返す。なんかしら違法ということにはできそうだ。

 まあ、ともかくと続ける。

「ただし、台の選び方や打たせ方については、店によってノウハウが変わってくる。だから、打ち子の中に金抜いている奴がいると分かっても、店を移る決断ができなかった。他の店で〈魔少年女〉を打たせても、期待値を保てるか分からないから」

 俺は最後の列のボタンを叩いた。揃った。赤〈7〉三つで、ビッグ・ボーナス。

 

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   AT:5

 

 ATが始まる。さあ、天徒を何人しばけるか。まず、一人目は成功。当然である。

「で、その上で〈ヘブンロード機構〉は続けているってことで合ってるか。別の店では、親から受け取った情報と金で、打ち子に打たせている」

「合ってる」

 だろう、と思っていた。

 天道がこの〈デラックス・ワン橋本〉での打ち子のみに尽力しているのなら、多分、正攻法で金を抜いている打ち子を突き止められていたはずだ。見回りを強化したり、最後の精算時の解散後に、もう一度、交換所に行っている奴がいないか個別に尾行をしたりといった泥臭い調査をすれば、時間はかかるだろうが確実に背信者を追える。それをしなかった、自分が親なのに、仲介業者の緩い動きを続けていたのは、他に忙しかったからだろう。だからこそ坂本祐樹もしくは松岡祐樹も、打ち子の掛け持ちを続けられたわけだが。

 つまりは親も打ち子も、掛け持ちをしていたわけだ。

「アリカはそっちで打ってんの」

 ボーナスやAT中は、手元さえ狂わなければいいので結構、気楽だ。天徒をバシバシぶっ飛ばしていく。

「それも正解。全部わかんだな」

 いくら打ち子は入れ替わると言っても、俺を勧誘する作戦のためだけに動いてくれるくらい協力的なアリカがいない、というのが第一の違和感だったからな。

「〈ヘブンロード機構〉で確実に稼ぎつつ、親としても期待値でどかんと稼げる。よくできてるだろ」

「そうだな」

 よくぞここまで、と思うよ、素直に。

 五人目の天徒を吹き飛ばす。

「でも、やめた方がいいぞ、それ。もう」「バッド・マナーだからか」「いや、もっと直接的な理由がある」

 六人目。

「祐樹が掛け持ちしていた親、多分、〈ヘブンロード機構〉への依頼者と同じ人だぞ」

 

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 天道が、台に肘をのせて完全にこっちを見ている。ってか、マジでさっきからレバー叩いてねえな。いい加減、店員さん来る可能性ある。

「なにを根拠に」

「打ち子を雇う親にとって、店や台の情報は企業秘密だ」これも天道が言っていたことだ。パチスロ打っている時にスマホを見ることすら嫌がる親もいるって。「それだけ親ごとに独自性があるのが店選び台選び。打ち子が掛け持ちできるくらいに被っていたこと自体が、かなり不自然だと思わないか」

 天道が背後を振り返った。そのあとに、顔を伏せ、背中を丸める。若干。その程度じゃバレるだろ。まず、遠目からでも分かる定番の服装をやめろよ。

「〈ヘブンロード機構〉に仲介を頼むの、信頼できる打ち子と繋がることができるからってお前言ってたけど、よくよく考えたら、メリットそれだけじゃないんだよな。他人に打ち子の管理を任せりゃ、自分は追加で子を雇える」

 試行回数を増やせば増やすほど勝てる確率が増し、儲けが増えるというのが軍団を作るメリットなのだから親はできる限り構成員を増やしたいはずなのだ。

「今、アリカたちにやらせている他の店の打ち子って、もしかして元々はここでの打ち子を頼んでた人だったりするかな。だったら、あっちは天道に任せてるんだから、親はこっちに来ている可能性高いな」

 つまり、見つかって、なんであっちにつきっきりじゃねえんだと怒られる可能性も高い。

「参ったな」

 天道が額に掌を当てている。マジビビりしてんじゃん。

「分かった。一旦、ここから出ようぜソータ」

「いや、ちょっと待て」俺はディスプレイを指した。「AT、十回目まできたぞ」

〈魔少年女〉のこの台は、ATが十までが最大である。そして、この十回目のATを成功すると。

『これで全員、覚醒したわね』

 声と共に、画面にヒビが入る演出が入る。割れたところで、うおおっ、ホウキに跨ってヨルさんが登場。変身済のアキト、アリス、ジャネットも現れて、ヒトミがそこに合流する。耳を突きさしてくるデカい音。画面にデカデカと光り輝く文字。〈メトロポリス・ハルマゲドン〉。第二シーズンの最終話タイトルだ。超レアの、ボーナス・モード突入っ。ぐいっと前のめり。

「なあ、ソータ」

「なんだよ」

 忙しいんだが。

「さっきから思ってたけど、もしかしてパチスロにドはまりしてんの。用語とか仕様、いつ覚えたんだそれ」

「いやっ、確かに最初連れてこられたあと一人で何度か打ったけど、別に、お前みたいな不純な動機でパチスロ打ってるわけじゃないからね。収支的には、むしろ敢えてトータルではマイナスにしてるっていうか。俺はただただ純粋に〈魔少年女〉が好きでさ。ほら、お前、これ聞こえるか。このインスト、第一シーズンのオープニングの変奏なんだけど、それやること自体はベッタベタでも神曲だと素直に泣いちゃうよなあ。あと俺そもそも第二シーズンが一番」

 

 

 高校くらいまでは夏休みが終わるのが嫌で嫌で仕方がなかったけどさ、大学生、しかも三年目ともなると「やっとか」って思うよな。別に講義やゼミにガンガン出たいわけじゃないんだけど、大学がないとあまりにも日常に刺激不足っていうか、俺、こんなんでいいのかみたいな不安が出てくる。

 というわけで明けて初回のゼミは、何をしたってわけでもないけど、結構、楽しく終われたね。さて、帰ってカドショ行くぜと立ち上がったところで天道が肩を掴んできた。

「なんだよ」

 天道はかすり傷ひとつない様子だった。〈ヘブンロード機構〉が最終的にどうなったかは知らねえけど、とりあえずボコボコにされて海に沈められたりはなかったらしい。良かったね。

「ソータ。学祭の予定、決まってるか」

 今度は何をやる気だ、こいつ。

 

(第2話・了)