2025年、日本は戦後80年という大きな節目を迎える。かつて戦火をくぐり抜けた人々が静かに人生の幕を閉じていく一方で、戦争を直接知らない世代が社会の多数を占めるようになり、その記憶や教訓をいかに次世代へ継承するかが課題となっている。

 

 こうした中、出版社の双葉社は、これまで刊行してきた戦争関連作品の中から選りすぐった書籍を集めた「戦後80年 平和祈念特集フェア」を各電子書店で開催している。

 

 

「読むこと」で残す戦争の姿

 双葉社は、1948年(昭和23年)創業。戦争の爪痕がなお色濃く残る時代に産声を上げた同社にとって、「戦後」というテーマは創業の根幹に深く結びついている。今回のフェアは、その歴史を踏まえ「本」という媒体を通じて戦争の実相や平和の尊さについて改めて考える機会を提供する狙いがある。

 

 

文学が描く戦争の光と影──多様な視点で厳選された作品群

 フェアでは、戦地の極限状況を描いた『ビルマに見た夢』(古処誠二・著)、戦時下へのタイムスリップを通じて現代を照射する『僕たちの戦争』(荻原浩・著)、食と戦争を重ね合わせた『皿の上のジャンボリー』(蜂須賀敬明・著)など、多様なテーマと語り口をもつ作品をラインナップ。文学作品が描く戦争の光と影を、多角的な視点から読み取ることができる構成となっている。


 読書という静かな時間の中で、過去に想いを馳せ、いまを見つめ直す。そんな時間が、次の80年に向けた「平和の礎」になるかもしれない。

 

 

平和祈念特集 対象作品(著者五十音順)

上田早夕里『上海灯蛾』
上田早夕里『破滅の王』
内山純『さかのぼり喫茶おおどけい』
内山純『レトロ喫茶おおどけい』
荻原浩『僕たちの戦争〈新装版〉』
神家正成『赤い白球』
古処誠二『死んでも負けない』
古処誠二『ビルマに見た夢』
根本聡一郎『プロパガンダゲーム』
蜂須賀敬明『皿の上のジャンボリー 上』
蜂須賀敬明『皿の上のジャンボリー 下』
椰月美智子『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』

 

 

フェア開催情報

【開催期間】2025年8月15日(金)~8月31日(日)
【実施店舗】各電子書店(※一部店舗を除く)
【特典内容】対象作品すべて定価から30%OFF