目隠し姿で両手足を拘束された男の首に、絞縄が巻かれる。この世で最後の息は踏み板の外れる音にかき消され、刑場の奈落へと堕ちていった──。
数日後、東京地裁民事部の判事・山代は同僚から「余命宣告を受けた被害者の交通事故死案件」を相談され、調書に記された名に愕然とする。被告の七浦は、かつて担当した訴訟で、無謀運転により相手に重傷を負わせた張本人だったのだ。
胸騒ぎを覚えた山代は、同じ手口で悪党に100万倍返しする影の裁判所・東京ゼロ地裁で独自に調べ始める。
一方、妻子を手にかけた罪で兄が死刑となった紗和は、ある日、殺されたはずの義姉によく似た女を見かける。
だが、事件を捜査した所轄署に駆け込むも、当時取り調べた刑事は誰も残っていなかった。裁判も刑の執行も終わった今、途方に暮れる紗和に、意外な人物が救いの手を差し伸べる。秘密裏に進められる再捜査。やがて、事件に隠されたドス黒い真相が浮かび上がる。
卑劣な手口で逃げおおせる極悪人から、金も命も強制執行!! 書き下ろしシリーズ第3弾。
東京ゼロ地裁 執行 3
定価:803円(税込)
判型:文庫判
ISBN:978-4-575-52780-3
発売日:2024年11月13日