中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。そこは、母親から構われずに育った葉奈子が救いを求めて逃げ込んだ場所だった。15年前の夏の記憶と、担任する女子生徒の無断外泊の背景が重なったとき、葉奈子の中でひとつの真実が立ち上がる。その真実を共有したのは、心に傷を負ったまま生きる同僚の中年男性教師だった――。SNSを用いた未成年者誘拐の、真の罪をあぶり出した長編小説。解説・寺地はるな
夏鳥たちのとまり木

定価:814円(税込)
判型:文庫判
ISBN:978-4-575-52847-3
発売日:2025年5月14日

中二の夏、私はアパートの一室に逃げ込んだ。
男は「大丈夫だよ」と言って受けとめてくれた。
SNSを通じた未成年者誘拐。
真の罪を胸に突きつける長編小説
この物語に描き出された問題に無関係な人は、ひとりとしていない。
寺地はるな(解説より)

自分が心のどこかで未成年者誘拐を当事者だけの問題のように捉えていたことを、今作を通して思い知りました。
夏の空を飛び疲れた鳥がとまらずにいられなかった木の正体に、この小説が少しでも触れられていたら嬉しいです。
奥田亜希子