僕は三年前に小学校の教員を辞めた。昼間の世界から逃げ込むようにして就いた夜勤の警備員の仕事。他人と深く関わらずに生きようと決めていたはずだった。でも、勤務先で置引未遂を起こした女児との出会いが僕の止まっていた時間を動かして……。損をしてまで誰かを助けることは愚かなことだろうか?挫折した青年の再生と新たな一歩を描く、書下ろし長編小説。
君に光射す
定価:1,815円(税込)
判型:四六判
ISBN:978-4-575-24603-2
発売日:2023年2月22日
きみだってたすけられていいんだよ。
教師をやめ夜勤の警備員になってから三年。
立ち止まっていた僕を動かしたのは、
空腹から置引未遂を犯した十歳の少女との出会いだった。
本屋大賞第2位のベストセラー『ひと』の著者が
ひとりで頑張ってしまうあなたへ贈る優しいエールの物語!
たとえ遠くにいても、たすけられなきゃいけない人のことは、
たすけるべきなんじゃないかな――
祖父母に大学まで出してもらった僕は、小学校の教師になった。東京で一人、生きていくために選んだ仕事。だが二十九歳の春、ある出来事から教師をやめることになる。そして、人との関わりを避けるように夜勤の警備員に転職した。不規則な生活にもなんとか慣れてきたころ、商業施設の巡回中に、小学生の女子がおばあさんのかばんを盗るところを目撃してしまい……。
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