根室でくすぶっている幸司のもとに、幼馴染みの裕司が現れる。子どもの頃から悪ガキコンビとして知られ、つるみながらも憎しみあっていた。東京で極道になった裕司は、組から数億の金を掠めとって根室に消えた敬二を一緒に捜せと脅してくる。極寒の地で、断てない腐れ縁を抱えた大人たちのドス黒い欲望が剥き出しとなり、救いがたき惨劇が始まる――。『少年と犬』で注目を集めた直木賞作家、魂も凍りつく暗黒小説の傑作が新装版で登場!