共に関ヶ原で生まれ育った12歳の多聞と龍之進は、1600年、大いくさの戦場でそれぞれ、人買いにさらわれてしまう。その後、多聞は宣教師に救われ、龍之進は篤実なポルトガル商人の家にもらわれた。長崎の南蛮社会で運命の再会を果たした二人だったが、歴史の荒波は平穏な日々を与えてはくれなかった。龍之進は養父が異端者のレッテルを貼られて没落、多聞には禁教政策のうねりが襲う。苦難の末、遠く海を渡ったマカオで再び邂逅した二人は、片や貿易商人、片やイエズス会士として逞しく成長していくが、やがてマカオを攻め取ろうとするオランダとの死戦に起つ。友情、恋、懊悩、決断――人を信じて清々しく生きる。徳川幕府黎明期、一寸先も見えない激動の中で、必死に道を求めた名も無き魂。感動を呼ぶ瑞々しき大河巨篇!