「絶対東大合格」の異常な教育環境で育った僕と、貧困家庭でネグレクトされていた彼女が親への復讐を計画する『サクラサク、サクラチル』や、突然この世を去った彼について生前関わった人々がそれぞれ思い出を語る『未知生さん』。また「ありがとう」「ごめん」といった、なんてことない一言をテーマにした短編集『ひとっこひとり』など、真夏の太陽にも負けないエネルギッシュな5作品が勢揃い!
夏休み、移動時間のお供にいかがでしょうか。
自分たちを虐げた親へ向けて二人の《復讐計画》が始動する──!
サクラサク、サクラチル
辻堂ゆめ
「絶対に東大合格しなきゃ許さない」──両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに──。教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。
歌人ならではの「言葉」がもたらす奇跡を見せてくれる短編集
ひとっこひとり
東直子
私たちが日常で交わす何気ない言葉、「大丈夫」「ごめん」「もういいよ」「なんで?」「ありがとうね」などのひとことをテーマに綴った短編を収録。孤独や寂しさを抱える現代人の心を掬い取りながら、ラストにはほのかな希望をそっと提示してくれる物語。歌人としても活躍する著者の、言葉のセンスがきらめく12編。装画を手がけた人気イラストレーター、三好愛氏の挿絵が彩りを添える。
協調性なし、裏表なし、悪気なし。そんな彼が突然この世を去った──
未知生さん
片島麦子
協調性がなくてマイペース、それでいて人畜無害な、いい人──そんな羽野未知生が不慮の事故に遭い、41歳の若さで突然この世を去った。葬儀に参列した高校の同級生や大学時代の元カノ、会社員時代の同期や上司は、在りし日の想い出を振り返りながら、自分自身の〈今〉を見つめ直す。そして遺された家族もまた、未知生のいない日常を歩みはじめるが──。 イマイチつかみどころの無いキャラの未知生と、生前うっかり関わってしまった者たちの〈これから〉を描く書き下ろし長編小説。
夏休みの終わり、私は終わらない“8月32日”に迷い込んだ……
鬼人幻燈抄 平成編 終の巫女
中西モトオ
鬼神降臨まで、あと一年足らず。甚夜はみやか達との高校生活を楽しみながらも、吉隠の作り出す“捏造された都市伝説”の退治に追われていた。そんな中、クラスの中でも派手なグループに所属する桃恵萌が、なぜか接触を図ってくる。まったく接点のない彼女が甚夜を気にする理由は、意外なもので……!? 懐かしい面々との出会い、因縁の相手との死闘……読みどころ満載で送る人気和風ファンタジーシリーズ第十三巻!
▼特設サイト
『鬼人幻燈抄』
https://www.futabasha.co.jp/introduction/2019/kijingentousyou/
孤独死しても頼れる人がいません
生きづらさ時代
菅野久美子
数々の孤独死現場を取材してきた著者が直面した現場には、家族やパートナー、社会との関係に苦しんだ「生きづらさ」の痕跡があった──。他の人のように上手く生きられない。現代人が抱えるどうしようもない辛さを様々な角度と視点から探る、著者初のエッセイ。毒親、引きこもり、婚活、女性用風俗、就職氷河期世代……複雑に絡み合う現代の「B面」から、私たちの生き方を考える。