「結婚こそがハッピーエンド」な世の中で。作家・牧村朝子×犬山紙子が「ふつう」について考えるオンラインイベント、11/8(月)開催！｜お知らせ

『ふつうにふつうのふりしたあとで、「普通」をめぐる35の対話』　刊行記念オンライントークイベント！

　牧村朝子さんの新刊『ふつうにふつうのふりしたあとで、「普通」をめぐる35の対話』（双葉社）が10月21日に発売されました。本書は、cakesにて好評連載中の人生相談「ハッピーエンドに殺されない」を加筆修正し、恋愛・仕事・人間関係などで自分を見失いかけている35人からの相談と、牧村さんの書き下ろし2万字＋ブックガイド（推薦本リスト）を収録したもの。

　このたびその刊行を記念し、2021年11月8日（月）の20時から、オンライントークイベント※を開催！　著者の牧村朝子さん、ゲストにイラストエッセイストやコメンテーターとしてご活躍の犬山紙子さんをお迎えし、「普通になりたいのに、なれない」「そもそも“普通”って誰が作ったんだっけ？」など、「ふつう」について熱く語っていただきます。

　また、今回は、「牧村さんと犬山さんへ相談したいこと」も大募集！　以下サイトのフォームよりお送りいただくと、抽選で選ばれた方は、お二人からご相談にお答えいただけます。

　※本イベントはリアルタイム配信とアーカイブ視聴（2週間）でご参加いただけるイベントです。詳細につきましては以下サイトをご確認ください。
https://bb211108.peatix.com/

「結婚したい」のか「結婚しなきゃ」なのか

　本書より、人生相談の一部をご紹介します。

【相談】こんな寂しさ、壊滅的。ハッピーエンドに殺されたい

　私は、お恥ずかしながら（？）、コロナ禍で寂しくなって婚活を始めてしまった感情の奴隷です。婚活というのは圧倒的にヘテロ優位なので、なんとかヘテロやっていこうと思いましたが、色々あって早々に「いや女性と結婚したいんじゃい」とキレてしまいました。

　でもどうしても、規範の再生産であろうと、私の願望は同じ価値観の人を見つけて、死ぬまでに女性二人でウェディングドレスを着て指輪を交換してフォトを撮ることなのです。親にも紹介したいです。ハッピーエンドに殺されたいのです。このコロナ禍で同性と出会い、距離を詰めるのに、私は何をすればいいでしょうか。

（一部抜粋させていただきました）

【回答】

「結婚したい」って、深層的には、しばしば「死にたくない」の言い換えなんですよね。生活の支え合い、老後の不安の解消、たとえ自分が死んでも子々孫々が続いていくんだな～という、血を託す感じ。

　あなたは結婚したいんじゃなくて、うーん、「大丈夫になりたい」のだろうと思うんです。

　なんでそう思ったかっていうと、この部分です。

　私の願望は同じ価値観の人を見つけて、死ぬまでに女性二人でウエディングドレスを着て指輪を交換してフォトを撮ることなのです。

　親にも紹介したいです。
　
　以下、わたしなりに整理します。

「指輪」「フォト」「紹介」……他人に見せて承認される要素
「同じ価値観の人」……しかし“他者”は求めてない要素
「死ぬまでに」……そしてなぜこの文脈で「死」が滲み出てきたのか、胸に手を当てて考えてみて欲しい要素

　いや〜、本当にこれ、「結婚したい」で言い換えられた別の欲望ですよね。この「結婚したい」の中身はたぶん、「食っていける金が欲しい」の方によっぽど近いです。

　自分の腹を満たす金を入手し、自分の欲望を甘やかに満たす物語を自分で綴って生きていくうち、あなたはいずれ、「他者」と出会うでしょう。その人はあなたじゃないので、あなたの筋書き通りには動いてくれません。思い通りにはならないおもろいこいつを、一生、見届けたい。そう思ったら結婚制度及びそれに類するものを使うのも手かもしれないけど、「同じ価値観の人と出会いたい」って気持ちだったら明らかに、自分自身と出会い直したほうが早いですね。

（一部抜粋させていただきました）

フルバージョンは、書籍にて!!

【そのほかの相談例】
・35歳処女です。恋は、した事がありません
・男です。男社会がしんどいです。
・動物に性的に惹かれる自分を許せない
・自分のせいで彼女に子供ができない
・親からの性の呪縛を断ち切りたい…etc.

　人生相談にもっともらしくアドバイスをするのでもなく、優しく「あなたはそのままでいいよ」とただ肯定するのでもない。

「そうか、そうなのか」と牧村さん流の寄り添いかたで相談者の話を聞き、言葉を尽くす。それを読んでる私たちは、自分の断片や一部を相談者の悩みの中に見つけたり、牧村さんの真摯な言葉がきっかけで、自身を客観的に見つめなおすこともある。

「ふつうのふり」をすることは悪いことじゃない。

　読んで心が軽くなるどころか、新しい扉が開き、さらに深みにハマってしまうかもしれないブックガイド（推薦本リスト）付き！　「ふつうのふり」をして日々を生き抜いてるあなたに、ぜひ手に取ってほしい１冊です。