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小説

上海灯蛾

上田早夕里[著]
上海灯蛾
あらすじ

1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇るこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。租界で商売をする彼のもとへ、原田ユキヱという謎めいた女から極上の阿片と芥子の種が持ち込まれる。次郎は上海の裏社会を支配する青幇チンパンの一員・楊直ヤン・ジーに渡りをつけるが、これをきっかけに阿片ビジネスへ引き摺り込まれてしまう。
軍靴の響き絶えない大陸において、阿片売買による莫大な富と帝国の栄耀に群がり、灯火に惹き寄せられる蛾のように熱狂し、燃え尽きていった男たちの物語。

上海灯蛾
上田早夕里[著]
判型:四六判
定価:2,200円(税込)
上田早夕里(ウエダサユリ)
兵庫県出身。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞する。SF以外のジャンルも旺盛に執筆し、18年『破滅の王』で第159回直木賞の候補となる。『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『夢みる葦笛』『リラと戦禍の風』『ヘーゼルの密書』『播磨国妖綺譚』など著書多数。