大阪の中学校で働く教師の華に、一人の女子生徒が言う。
ある男性教師に告白したものの、返ってきた言葉は「五年後に言うてくれたらうれしいのに」だったと。
それは華自身が、のちに夫となる啓吾から言われた言葉であり、そして啓吾の命が奪われるきっかけとなった言葉でもあった。
「教師」という人間を通して浮き彫りになる嫉妬や悪意、弱さや狡さ。
そして、ラストで胸に兆すささやかな希望――。
第40回小説推理新人賞受賞作を含む、元中学教師による注目のデビュー短編集。