全国紙である日陽新聞社の本社文化部に異動してきた雨柳円花に対しての、先輩記者・山田文明の印象は最悪だった。自分にはタメ口だわ、SNSで人気者だわ、社会人としての礼儀はなってないわ……そして自分より先に連載企画を担当するとは!! アートに関しては知識と興味が人一倍ある円花が企画した、日本に息づく伝統的なワザを〔再発見〕する新連載、その補佐役を山田は命じられる。硯、大津絵、漱石の肖像写真、灯台、円空仏。様々なテーマに取り組み、取材で各地を二人でまわるうち、自由奔放なだけではない円花の良さ、自分にはない能力と魅力にいつしか山田は気づかされ――。そんな二人の取材の成果をお届けします! 芸大出身の著者が紡ぐ、文庫オリジナル連作小説。ART&EATの魅力がたっぷり!