若き能楽師とその弟子が応仁の乱前夜の京都で人々の心のなかの鬼が生む事件に立ち向かう──。選考委員の絶賛のもと、第36回小説推理新人賞を受賞した表題作のほか、混迷の時代を生きる人々を活写した衝撃のデビュー作、待望の文庫化。
第36回小説推理新人賞受賞作、待望の文庫化
観世流の天才能楽師と“訳あり”弟子が京の都で起こる怪事件に挑む
貴族 武士 町人……誰の心にも鬼は棲む
優美な文体から放たれる圧巻の歴史ミステリー連作集
本書は、室町時代の京都を舞台にした歴史推理小説である。戦国・織豊期の信長・秀吉・家康が好きな歴女や幕末・明治維新の新選組などに慣れ親しんだ読者には、室町時代という時代背景をもったエンターテインメントは、ほとんど未体験ゾーンに属するのではなかろうか。これがまた新鮮な面白さに誘い込んでくれることまちがいない。(「解説」より)