■結婚
【妻との出会い】
僕の妻は『梅小鉢』というコンビ芸人の高田紗千子だ。もともとは後輩芸人という存在だったのだが、ユニットライブを重ねていくうちに仲良くなり一緒に出かけるようになった。
好きになったきっかけは、回転寿司に行ったときのこと。お店へ入ると、お茶だけではなく、水まで持って来てくれたのだ。この出来事に「気が利くし、こんなにいい子は世の中にほかにいないんじゃないか」と思ったから。
そんな彼女とのデートは決まって大阪にある遊園地『ひらかたパーク』だった。なぜなら僕はここでアルバイトをしたことがあり、隅々まで知り尽くしている自分のテリトリーだからである。ジェットコースターで座ると面白い位置から従業員のタイムカードの場所までなんでも教えた。みんなが知らない情報を伝えることで他とは違う男前をアピールしていったのである。そのおかげかは知らないが、見事に彼女のハートを射止めることができた。

【恩人の後押し】
そんな彼女とのお付き合いが10年に及んで、結婚を意識していた頃、妻の親戚にも安心してもらう必要があると感じていた。そこで考えたのがM-1。決勝へ進んで活躍している姿をテレビで観てもらうのが何よりではないか。しかし残念ながら決勝進出は最後までかなわなかった。
この先どうしようかと悩んでいたときに背中を押してくれたのは、尊敬する渡辺徹さんからの「俺らの仕事の保証なんて永遠にないよ」という言葉。これに僕は「何にこだわっていたんだろう」と気づかされたのである。そして意を決して40歳で結婚。 生前、徹さんにはご飯に連れて行っていただき、何かと悩みを打ち明けてはアドバイスをもらうなど大変お世話になった。
【父の威厳】
2019年に第一子の長男、2023年に第二子の次男が誕生した。上の子は教育方針も考えなくてはいけない年頃だが、基本的にはやりたいことをやらせてあげたいと思っている。しかし、そんな父の気持ちを知っているのか知らないのか、長男は妻より僕をだいぶ下に見ている。
以前、妻の写真を彼に見せたとき、「ママは本当にかわいいやんな」と褒めちぎっていたのだが、一方で僕の写真には「ちんちん出てるな」とわけのわからないことを言っていた。もちろん、ちんちんは出ていない。どのように父が見えているのか、まったくの謎である。
【子どもへの悩み】
長男が2歳の頃。彼は本当に興味のあることしかしなかった。たとえば「食」。同じもの以外は食べず、玉子焼きと、シラスご飯、パンケーキの3本柱で生きていた。どのタイミングで他のものを食べるのだろうか……。
この先も同じ食べ物ばかりで生きていくのか、それはそれは不安だったが、ある日突然彼は食に目覚め、いまでは食費のほうが不安である。
【恐怖に勝つ】
そんな我が子と一緒に時間を過ごしていると、人間はどうやって生きていくといいのか……ということがわかり、とても勉強になっている。これは長男だけではなく子ども全般に言えることだが、なぜか小さい子はあえて自分から高くて危ない場所へ行きたがるのだ。
大人なら怖くなってしまうはずなのに、彼らが平然とした顔をしてどんどん進んでいくのは、恐怖より好奇心が勝っているからだろう。僕はそういった面白そうな物事に向かっていく姿勢を彼から見習いたいと思っている。

【人生で大事なこと】
それと、幼い時期に子どもたちが出す大きな奇声にも僕はワクワクする。とある日、そのワクワクを自分でも我慢できなくなり、夜中に人がいないところでこっそり真似をして叫んでみたことがあるのだが、まさかの大発見でこれがとても楽しい。一方的に息子から何か大事なことを教わった気がした。
これまでも計画的に仕事を休む日を作ってもらって、子どもと過ごす時間をできるだけ設けていたのだが、もっと接する機会を作ってもいいだろうと感じる今日この頃。
【妻への悩み】
実は妻に対しても困ったことがある。彼女はモノマネが得意ネタなのだが、そのせいで番組出演のオーディションが近づくと、練習がてらずっとマネをするタレントさんの声でしゃべるようになる。
少し前までは全部、井森美幸さんだったので、井森さんと住んでいる錯覚に陥った。以前、不動産屋さんから携帯に電話がかかってきて、「中西さんの部屋から奇声が聞こえるという報告がありました」みたいなことを言われたことが。なんでも女性の高笑いが聞こえてくるらしい。そんなハズはないと答えて電話を切ったのだが、念のため帰宅して妻に確認したら島崎和歌子さんの笑い方の練習をしていたとのこと。今後は防音も考えなくてはいけないかもしれない。

【晃行の結婚】
2022年には晃行も結婚した。相手は僕が選ぶつもりでいたが、晃行が自分で選んだ相手だったので、とても寂しく、そして悔しく感じてしまう。他方で彼を見ていると成長したのだな、とも思う。
先日は僕に相談せずにおしゃれなサンダルを自分で選んで買っていた。昔は僕が晃行に似合うサンダルを選んでいたのに……。彼はお酒も好きだしギャンブルも好きで破天荒、きっと母性にあふれている女性が合うに違いない。
しかし、蓋を開けてみれば彼の奥さんは独特で底抜けに明るく、ひと言でいうと「面白くないフワちゃん」である。そんな那須夫妻の付き添いで先日『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)に出演し、僕は番組史上初めて離婚を勧めた。

この続きは、書籍にてお楽しみください