国外からの渡航者の入国制限が緩和され、いよいよコロナ禍の「夜明け」も近いと感じられる今日この頃。しかし、今から60年以上前、昭和20年代の北海道・礼文島で実際に起きた「感染症」の脅威と闘う研究者と島民を描いた小説『清浄島』に流れる空気は重く、暗い。現代のコロナ禍初期にも似た怖さがあった。

 この島にキツネが運んだ寄生虫「エキノコックス」が引き起こす、謎多き感染症。島外への更なる流行拡大を防ぐため、研究者と島民はある苦しい決断を迫られるのだが……。直木賞候補作『絞め殺しの樹』で注目の著者・河﨑秋子氏による本書は、胸が熱くなる感動の物語だ。

 一方で、新型ウイルスが広まった2020年の夏を舞台にした、寺地はるな氏による新作『川のほとりに立つ者は』も注目の一冊。年頃の女性とその恋人の「すれ違い」を軸に物語が進んでいく本作。すれ違いの原因は恋人の「隠し事」にあると思っていたのだが、ある出来事をきっかけにその「本当の理由」を知ることになり……。

 ウイルスに翻弄された2つの時代を舞台にした二作品は、時は移り変わっても、人間の本質は変わらないのかもしれないと思わせてくれる。読後数日たっても心の真ん中を照らしてくれ、ちょっと勇気をくれるのだ。そんな、心奮わせる新刊ラインナップをご紹介!

 

 

シリーズ累計25万部突破! 大人気「童話×ミステリー」第2弾!

赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。

赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。
青柳碧人

おじさんにワインを届けに行く途中、赤ずきんはピノキオの右腕を拾いました。バラバラになった体を集め始ますが、なぜか殺しの犯人として逮捕されてしまい!? 行く先々で事件に遭遇しながら、赤ずきんが再び推理の旅に出る!

 

▼特設サイト
『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』
https://www.futabasha.co.jp/introduction/aoyagi/

 

 

読後、あなたの心に大切な灯りがともる。『水を縫う』の著者が“今”を問う傑作長編!

川のほとりに立つ者は

川のほとりに立つ者は
寺地はるな

新型ウイルスが広まった2020年の夏。カフェの店長を務める29歳の原田清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いていた。原因は彼の「隠し事」のせいだ。そんなある日、松木が怪我をして意識を失い、病院に運ばれた。意識の回復を待つ間、彼の部屋を訪れた清瀬は3冊のノートを見つける。そこで、松木とのすれ違いの「本当の理由」を知ることになり……。

 

 

異端の裁判官が、平凡な事件を結審直前の被告人質問でひっくり返す「逆転裁判」ミステリー!

不知火判事の比類なき被告人質問

不知火判事の比類なき被告人質問
矢樹純

フリーライターの湯川和花は殺人事件のルポを書くために裁判を傍聴することになった。30代無職の娘がシングルマザーの母親を絞殺。娘は犯行を認め何事もなく結審すると思われたが、被告人の供述には時折「曖昧」なところがあった。そして、左陪席の不知火春希裁判官が最後の質問で、被告本人しか知りえない事実を指摘する――。

 

 

謎多き感染症と闘い続けた研究者と島民の軌跡。今こそ読んでほしい感動の物語!

清浄島

清浄島
河﨑秋子

風が強く吹きつける北海道の離島、礼文島。昭和29年、動物学者である土橋義明は単身、ここに派遣される。この島にキツネが運んだ寄生虫「エキノコックス」が引き起こす、謎多き病を解明するためだった――。直木賞候補作『絞め殺しの樹』で注目の著者による渾身の傑作長編!

 

 

時代に取り残された“花街の姿”をしっとり描く昭和編。大人気和風ファンタジーシリーズ第11巻!

鬼人幻燈抄 昭和編 花街夢灯籠

鬼人幻燈抄 昭和編 花街夢灯籠
中西モトオ

昭和34年、甚夜の姿は「鳩の街」と呼ばれる花街にあった。戦後、赤線地帯として栄えた東京の下町で彼が探すのは、マガツメの娘と思われる花の名をした娼婦。だが、気づけば甚夜は、「鳩の街」自体の怪異に取り込まれていた――。

 

▼特設サイト
『鬼人幻燈抄』
https://www.futabasha.co.jp/introduction/2019/kijingentousyou/

 

 

古希を迎えた著者が指南する、年齢に縛られない生き方!

アロハで酒場へ
なぎら式70歳から始める「年不相応」生活のススメ

なぎら健壱

酒場の話を書かせたら天下一品。カメラに自転車、絵画と多芸多趣味で人生を楽しみ尽くしている憧れのオヤジが古稀を迎え、ますます融通無碍に日々を送る秘訣を綴った、「頑張りすぎないけど、枯れもしない」生き方指南。なぜこんな境地に至ったのか、人生を振り返りつつ、これから先を楽しく生きるヒントを紹介する。