先日、「ベストドレッサー賞2021」学術・文化部門で“2021年のベストドレッサー”に選ばれた作家の伊集院静氏。外見だけでなく、その生き方や発言、数々の著書からは真の大人の男の香りが漂う。そんな伊集院氏が「手紙の書き方」や「身だしなみの考え方」などを綴った最新エッセイ集が待望の文庫化となった。

 

一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2

 

一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2

 

■『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』伊集院静

 

 作家として直木賞をはじめ、数々の文学賞を受賞し、昨年末にも野間出版文化賞を受賞するなど、まさに国民的作家といえる伊集院静氏。小説だけではなく、その考え方や生き方を綴った「大人の流儀シリーズ」は累計で200万部を超すベストセラーとなっている。そんな伊集院氏が、この1月に発売したのが、『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』(双葉文庫)だ。

 今作では、「旅に出ることの大切さ」をはじめ、「手紙の書き方」「服の選び方」についても明かしている。その中から、すぐに実践できるであろう「大人の生き方」ができるコツをいくつか紹介していこう。

 まず、メールやLINEで他人とのコミュニケーションをはかるときにも役に立つ「手紙の書き方」から。相手に自分の気持ちや意図を伝えようとすると、どうしても長い文章になりがちだが、〈短い手紙の方が良い手紙と言ってもいい〉と伊集院氏は断じる。さらに〈長い手紙にロクなものはない〉とも言い切る。ほかにも、〈無理に漢字にする必要はない〉〈一番は何を伝えようかと常に考えて書き進める〉など、13にもわたる「手紙の作法」が記されている。そして、素晴らしい例として挙げているのが親交のある歌手の井上陽水さんから届いた手紙だという。何が素晴らしかったのか、それは本書をご覧いただきたい。

 つづいては、「服の選び方」。ファストファッション全盛の時代、安価で質のいい服が手に入る世の中だが、伊集院氏は〈靴で、その人の身だしなみへの思いがわかる〉とある人に教わったという。毎日同じ靴を履くような暮らしはしないこと、靴は自分で手入れすることなど、「オシャレは足元から」とされる理由を説いている。

 ほかにも、伊集院氏と交友がある松井秀喜、松山英樹、武豊といった一流のアスリートとのエピソード、今は亡き星野仙一氏が大学時代に見せた意外な素顔など、有名人との知られざる交流も語られている本書。「一度きりの人生だから」こそ、本書を読んで、自らの生活やこれからの人生のことを見直してみてもいいかもしれない。