事件記者の安田賢太郎は、週刊誌からの依頼で死傷者七名を出した殺傷事件の犯人の素顔を追うことに。逮捕された三十五歳無職の深瀬礼司は「死刑になりたい」と供述。犯人への非難と中傷が世間に溢れ返るなか、安田は深瀬の言葉の真意に近づくため、彼の過去を知る者たちへのインタビューを重ねていく。やがて見えてきた、深瀬の社会人時代、青年時代、少年時代の壮絶な体験。次第に深瀬に心を寄せていく安田だが、自身の書いた記事によって最悪の事態が起こり――。
直木賞候補の著者が放つ、慟哭の社会派サスペンス!