フリーカメラマンの葉子は36歳の時に離婚。子どもはなく、東京のマンションに1人で暮らしていた。葉子は仕事先の編集者、杉浦と不倫関係にあったが、時を違えて甥と姪が長野からやってくる。2人の父親、葉子の兄は癌を患い闘病していたが、2人はそれぞれ事情を抱え、自宅を出たいと強く願っていた。——日々の生活で次々と起きる問題に直面し、様々な感情に揺れる葉子。今では空き家となり、朽ちた故郷の家に思いを重ね、過ごしてきた時間の中で徐々に積もっていった「心のしこり」と向き合う。
ピリオド〈新装版〉
定価:1,078円(税込)
判型:文庫判
ISBN:978-4-575-52756-8
発売日:2024年5月15日
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葉子、40歳、バツイチ、1人暮らし。人生の折り返し地点を過ぎ、直面する仕事や家族の問題。モヤっと霞がかった日常を、進んでいく。「どこかに帰りたいと思う気分、帰りたいと望む心を描いてみたかった」と著者が語る感動作。
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どこかに帰りたいと思う気分、帰りたいと望む心を描いてみたかった。多くの人の人生には、とりたてて何が起こるというわけではないと思う。それでも、かけがえのない時は流れ、人は自分の人生にいくつかのピリオドを打ちながら進んでいく。進むしかないからこそ、振り返りたくなるのだと思う。ちょうど雪原をさまよいながら、時折、振り返って自分の足跡を眺めるように。——乃南アサ
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